Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第25章 三角幼馴染み《及川 徹&岩泉 一》
あぁ、この恋は叶わないんだ。
それは、約束のイミを理解した瞬間。
トオルの家からの帰り道、不意に思った。それはリンゴが重力に引かれるみたいに、ストンッと胸に落ちた。
前を歩くハジメの後ろ姿に、なんでかな、胸がきゅうっと苦しくなった。振り返って、ハジメはわたしに怪訝そうな顔をした。
「お前、なんかあったか?ヘンだぞ?」
『ううん、なんでもないの』
「そーか。早く帰ろーぜ、暗くなってきた」
『うん』
そう返事すると、ハジメはずいっとわたしに手を伸ばしてきた。
「ん?」
『…うん』
伸べられた左手に、そっと右手を重ねる。それから家に向かって歩き出す。といっても、たった数分の距離だけど。
小さい頃とおんなじ。3人でいっつも手を繋いで帰り、それは2人の時でも変わらない。
伝わるハジメの体温に、切なくって、泣きそうになって、下唇を噛み締めた。燃える夕陽が空を真っ赤に染めていた。
想いを告げられずに3年が経過。その間に私の身体はどんどん大人っぽくなった。
中学生の頃はペッタンコでコンプレックスとも言えた胸が膨らみ、体付きは丸みを帯びて。一方で、トオルとハジメも男の子らしく、筋肉質になって背も伸びた。
それでも変わらない、1つのこと。
それが、バレーだった。
わたしもトオルもハジメも、みんなバレー部に入り、部活三昧の日々を送った。春高やインハイで結果を残すことはできなかったけど、最高の3年間だった。
そして近付く、高校最後のクリスマスと、お正月とそして、バレンタイン。
3人で交わした約束は守りたい。
ハジメに想いを伝えたい。
そうしたら、約束を破ることになる?
ハジメに告白したい。
そうしたら、裏切ることになる?
好きって気持ちと、友達って事実と。
わたしのココロは、矛盾でいっぱい。