Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第24章 おつきみ《月島 蛍》
ダイニングに向かったものの、蛍に着替えろと言われ、仕方なく部屋に向かう。それから着替えを済ませ、ダイニングに戻ると、すっかり食事の用意が調っていた。
定番になった位置に座り、お鍋のフタを開ける。ほわっと白い湯気が昇り、くつくつと煮えた野菜や魚が美味しそうだ。
「旬なんで鮭にしました。北海道では何て言うんでしたっけ…?」
『えっとね、"ちゃんちゃん焼き"って言うの。味噌味なんだよ~』
「味噌…ではないですけど」
『うん。じゃ今度一緒に作ろうね』
わたしの地元、北海道では秋になると良く食べたりする。取れ立て新鮮の鮭とやっぱり取れ立て新鮮の野菜、味噌風味のタレが、絶妙に美味しい。
家が農家だったから、懐かしいなぁとか、元気にしてるかなぁ、と郷里と家族を思う。
イタダキマス、と手を合わせる蛍に習い、手を合わせる。具を取り分けてご飯と一緒に口に入れる。醤油ベースのお鍋、美味…
モグモグと食べながら他愛の無い話をしていると、不意に蛍が黙り込んだ。
『あれ、蛍、どうしたの?』
「…今度、先輩のご家族に挨拶に行きたいです」
『…え、それって…?』
「そういうこと、デス…///」
ご挨拶、それはつまり。
結婚したい、ということで。
頬を赤らめる彼につられ、カァッと顔に熱が集まる。理解した瞬間、なんだか言い様の無いものが込み上げてくるようで。わぁ、どうしよう。なんか…
『すごい、嬉しいです…///』
「なら、言った甲斐がありますね?」
『ふふふ、そうだね?』
アリガト、と微笑むと、どういたしまして、と素っ気なく返ってきた。でも、それがシャイな彼なりの返事なので、ますます笑みが濃くなった。
鮭を食べようとして、あぢっと顔をしかめた彼に、心があったまるようで。
好きだなぁ、と、思った。