Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第24章 おつきみ《月島 蛍》
【蒼井 side】
ヴヴッとスマホが鳴ったのは、残業を終えて帰ろうとした午後6時過ぎのこと。
ディスプレイには"蛍"とあり、メッセージが届いていた。蛍は同じ会社で別部署の後輩くん。2つ下の彼は、わたしの彼氏なのだ。
ダーリンからのメッセージに、口許がニヤけるのを感じつつ、タップして開く。そこにはかわいらしい内容が。
蛍;今夜、家に行っていいですか?
先輩と飲みたいです
海宙;OKだよ(o^-')b !
7時には帰れるから、合カギでね♪
蛍;分かりました
うちで飲みたい、なんて彼の方から言ってくることは少ない。だから淡白な内容のメッセージでも嬉しいのだ。
残っていた同僚にお先でーすと伝え、駅まで軽く走る。早く、会いたい。会いたいから、自然と足取りが速くなるのだ。
帰宅時間帯ということもあり、混み混みの電車。満員のそれをなんとかやり過ごし、駅を降りれば、マンションはすぐそこだ。
途中、コンビニに寄ってお酒とかおやつとかを買っていく。ふと目に留まったおだんごが"食べてください。"と言わんばかりだったので、おまけに買った。
光が漏れる部屋が、彼がいることを告げている。ドアを開け、靴を脱ぎ捨てて、ひょろりと長身の彼に後ろから飛び付く。
『蛍、たっだいま~!』
「お帰りなさい。早かったですネ?」
『蛍に会いたくて、ね?』
自分で言っときながら、きゃー!と顔を隠す。我ながら、なんて恥ずかしいセリフ。すると真正面から蛍くんに抱きしめられる。ちょっと驚いて、彼に問う。
『ど、どうしたの…?』
「あんまりカワイイコト言わないでください」
そう言って体を離す蛍くんの頬は、ほんのりと桜色だった。普段からかう側だから、からかわれると恥ずかしいのかも。クスッと笑うと、デコぴんを食らう。
『おっふ!?』
「笑うからです。ホラ、ご飯作ったんで食べましょう。今日はお鍋ですからね」
『わーい、お鍋。蛍のご飯美味しいもんね』
すたすたと歩くクリーム色の頭を追い、ダイニングに向かった。