Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第23章 ★"10年"と彼女《花巻 貴大》
2軒目の居酒屋は、少し歩いた所にある、俺の行き付けの店にした。
「ここ、お酒色んな種類があるから、どれでも好きなの頼んでな」
『はい!』
カウンター席に座り、海宙はファジーネーブルを頼んだ。ファジーネーブルはフルーティーで度数も低い。なんとなく甘いのが飲みたかったので、俺もそれを頼む。
すると、海宙は女の子みたいですね、とクスリと笑った。少し気恥ずかしかったので、こつん、と頭を小突いた。
「じゃー、10年振りの再会に…?」
『かんぱーい!』
ごくり、と一気に飲み干せば、トロピカルフルーツみたいなジュースみたいな、甘さが喉に広がっていく。
「次は?」
『んーと…』
ほんのりと薄く染まっている頬に、邪な考えがよぎる。
もし、度数の高いようなお酒を飲ませたら、お持ち帰りできないか、と。
いやいや、そんなことしたらダメだ。でもここで会えたんだから、一回くらい…
頭を抱えて葛藤していると、海宙にとんとんと肩を叩かれた。
『貴大さん?どうしました?』
「え、あぁ、いや…」
『もぉ、百面相してるんですもん』
「悪い、考え事してて…」
『えぇ!?隣にこぉんな美女がいるのに?』
「ブッ…」
『わ、笑わないでください。自分で言っておいて恥ずかしかったんですから…///』
頬を膨らませて恥ずかしがるのがあんまりにもツボったので、笑いの発作はしばらく収まらなかった。
海宙は膨れっ面のまま、カクテル選んでもらおうと思ったのに、と呟いた。さっきの邪な考えはどこへやら。俺はこの店のおすすめを次々に頼んだ。
色々試したけど、スクリュードライバーが気に入ったようで、海宙は2杯目を飲んでいる。終電もあるし、そろそろ止めようかと思い、声を掛ける。
「おい、その辺にしとけよ。帰れなくなるぞ」
『ふぇ?むぅ、もっと飲みたいれすぅ!』
「え………」
『もっと飲むのぉ。これおかぁりする!』
ダメだ、遅かったか…既にぐでぐでに酔っ払ってらっしゃったか。海宙は呂律の回らない口で、まだ飲むと言い張っている。