Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第22章 ★オモチャと彼女《国見 英》
10時になり、ドラマも終了。うとうとしていた俺の肩を、海宙はトントン叩く。
『国見、終わったよ。お風呂いきたい』
「ん…じゃあ着替え持ってって。俺は布団敷いてるから。あ、シャンプーとかリンスとかはあるやつ適当に使ってて」
『はーい。いってきまーす』
ペタペタと廊下を歩く音が段々小さくなり、やがてバタンとドアの閉まる音がした。よっこらしょ、と立ち上がり、自室に戻る。
部屋のテーブルを端に寄せ、隣の部屋から布団を引っ張り出して、広げる。それからスマホのトークアプリを開くと、金田一からスタ連(スタンプを恐ろしい程に連打すること)されていた。しかも、全部絵柄の違うやつ。
「ち、あの野郎…」
俺も負けじとスタ連を返す。するとピーコンとコメントが点灯した。
らっきょ;スタ連返しか!
らっきょ;そういや部活でさ蒼井が
お前の家に泊まるってやたら
自慢してきたんだけど
国見;あ、マジで
でも事実だよ
今は風呂に入ってる
らっきょ;うわ、リア充だ(笑)
国見;お前も彼女、作れば?
らっきょ;できると思うか?
国見;なわけ(笑)
らっきょ;せめてフォローしろよ!
そんな会話を楽しんでいると、階段を登ってくる音が聞こえた。金田一にじゃあね、と返信を打ち、スマホを置いた。それと同時に部屋のドアが開いた。
あの有名なネズミのパジャマを着た彼女の姿がそこにはあった。茶色っぽい(本人は黒だと言い張っている)ボブの髪の毛は、まだ完全には乾ききっていない。
しっとりと濡れた髪とうっすらと上気した頬。それが余計に彼女が色白だということを鮮明にしていた。
単刀直入に言うと、ズバリ、エロい。
『ふぁー、さっぱりしたー。先にお風呂入らしてくれてありがと』
「お礼ならキスね。はい、隣来て」
『ん。分かった』
素直に隣にぺたんと座る海宙。彼女は手を伸ばし頬に手を当てると、少し背伸びをして俺にキスをした。
優しく、浅く、触れ合うように。でもそれは次第に深いものへと変わっていく。
『んっ…ふ、ぁ…んっ…』
「声、抑えなないで」
『ぅん、やぁ…っふぁ、んぁ…』
唇を離せば、とろり蕩けた海宙の顔。崩れそうになる理性をなんとか繋ぎ止め、もう一度唇を合わせた。