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Volleyball Boys 《ハイキュー!!》

第22章 ★オモチャと彼女《国見 英》



繋いだ手を、まるで子供みたいにぶんぶん振り回す海宙。

『ねぇ、国見』

「何?」

『今日は国見のお家に行くんでしょ?』

「来るんでしょ?」

『うん。でも両親とかは…』

「今日はいないよ。親戚の家族と関西の方に旅行に行ってるからさ」

今朝、起きたらリビングのテーブルの上に小さなメモ書きがあった。そこには母親の几帳面な字で、親戚家族と関西に旅行に行っていることと、3日後に帰ってくることが書かれていたのだ。

「てかさ、どうせなら泊まってけば?」

『わ、いいの?』

やったお泊まりだ、と喜ぶ彼女は、普段なら見せないような笑顔。見てるだけなのに、心がぽかぽかと温かくなるよう。

「じゃ、海宙の家に寄って荷物用意して、それから俺ん家に行こうか」

『はーい』

てくてく歩き、海宙の家に寄ってから俺の家に向かう。玄関のカギを開け、階段を登って部屋に案内する。

「はい、到着。夜はここに布団広げよう。今はとりあえず適当に荷物広げて」

『わー、国見の部屋。久し振りー!』

ぼふ、とベッドに倒れる彼女。その上に馬乗りになり、そっと唇を近付ける。するとニュッと手が伸びてきて、俺の口を押さえた。

「んぐ?」

『だめ。国見はキスしたら、そのままエッチなことするからやだ』

「いいじゃん。キスだけ」

『だーめ。ご飯の後』

イヤだとごねたら、晩ご飯は私が作るからそれで我慢して?と言われる。好きな子の手料理が食べられるのに、断る理由も見付からなかったので、キスはお預けになった。

しかし、それで挫ける俺じゃない。

「海宙」

『なーに、くにm…っ!?』

ちゅっと吸い付けば、柔らかな唇からは甘い味がした。イチゴ味、これリップかな。

『だめって、言ったのに…///』

「この後はまだしないよ。だって…」

夜に、たくさんするもんね?

そう言えば真っ赤になる彼女。けらけら笑えばペチッとデコを叩かれる。晩ご飯が無くなりそうだったので、大人しく従うことにした。

だって俺には、夜があるもんね。

ニヤリとほくそ笑む俺に、楽し気に料理を作る彼女は、全く気付いていないようだった。


   
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