Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第21章 誕生日と彼女《金田一 勇太郎》
そして翌日、月曜日。学校に着き、教室に入るのと同時にスマホがヴヴッと唸る。
届いたメールを開いて愕然とした。
送り主は海宙、件名は無し。震える手で画面をタップし表示する。そこには、朝の挨拶と、簡潔な文章で放課後に会いたいと書かれていた。
これって、別れ話?
もう、オシマイ?
及川さんがいるから?
そんなの…
「っクソ、ふざけんなよ!」
教室を飛び出し、廊下を風のように駆け抜ける。朝のこの時間、バレー部員なら屋上にたまっている。頼む、間に合ってくれ。
ダダダッと階段を1段抜かしで駆け上がり、バタンッとドアを開ける。そこには思った通り、バレー部の面々の姿があった。
「おー金田一。おはよ…って、どした?」
及川さんにつかつかと歩み寄り、目の前で止まる。そして、頭を思いっきり下げた。
「及川さん、お願いです。海宙のこと盗らないでください!」
へ、と間抜けな声が聞こえた。それを無視して、俺は叫んだ。どうか、伝わるようにと。
「俺、本気で海宙が好きなんです!」
プッ、と吹き出す声が聞こえたかと思うと、それは笑い声になって響く。慌てて顔を上げれば、及川さんも岩泉さんも、国見もみんなが笑っていた。
「大丈夫。海宙ちゃんは金田一と別れるつ もりなんて、さらさらないよ」
「えっ!?」
「もっと海宙のこと信用しろっつーの」
「ぐふ!?」
国見にドムッと脇腹を殴られる。この感じはもしかすると…?
「俺の、勘違いか…」
ぽつり、呟くと、こめかみの辺りをぐりぐりとグーで押される。花巻さんがニヤニヤしながら言った。
「お前なぁ、彼女ちゃんと信じてやれよ」
「今度こそフラれるぞー」
残酷なことを言う松川さんに、それは困ります!と叫べば、また爆笑。
「向こうから会おうとでも言われたんだろ?」
「岩泉さん、そうっす」
「なら、その時間まで待っててやれ。彼氏なら、最後まで信じてやれよな?」
「ハイッ!」
岩泉さん、カッケー!
それから予鈴が鳴り、教室に戻る。さっきまでの鬱屈した気持ちはどこへやら。後でクラスメイトに言われた話だが、その時の俺はいつになく上機嫌だったらしい。