Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第21章 誕生日と彼女《金田一 勇太郎》
そして日曜日。朝から晴れて、とても良い天気だった。いつもより少しだけ、オシャレし、お気に入りのシュシュで髪を結ぶ。
向かうのは、駅前にある男性用のお店。そして、ここで問題発生。男性用のお店、なんだかわたしだけ浮いちゃいそうで、入るにはいれない。
『うー、どうしよう…』
お店の前をうろうろしていると、聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。
「おーい、海宙ちゃーん!」
『あっ、お、及川さん!?』
振り向いた先にいたのは、及川さんたち3年生4人。うわ、私服カッコいい…
「わー、私服カワイイー!オシャレだね」
『ありがとうございます。及川さんたちもカッコいいですよ?』
「そう?それより、ここで何してるの?」
そこでお店に入りにくいと説明すると、及川さんはにこりと笑った。
「俺たちさ、この店に用事あるんだ。良かったら一緒に行かない?」
『え、良いんですか?迷惑じゃ…』
「んなワケあるか。こっちは及川がいるだけでガキ3人分の手間だ。今さら蒼井が増えたところでどーもしねーよ」
『あ、じゃあ、お言葉に甘えて…』
「岩ちゃん及川サン傷付く!」
そんなやり取りに苦笑いしつつ、ショッピングを楽しむ。みんなで服を見たり、勇くんにこんなの似合いそうだね、とか、英はこういうのが似合うと思う、とか、そんな話をする。
ちゃっかりおやつにサーティーワンのアイスクリームをおごってもらったり。
『今日はありがとうございました』
「いいって。こっちも楽しかったからな」
「バイト頑張ってたしな、オツカレ」
そう言って花巻さんと松川さんは笑った。それから及川さんはニヤニヤしながらわたしをつっついてきた。
「ところで、金田一の話する時スゴい嬉しそうだったんだけど?」
『うぇっ///』
「本当、幸せそうな顔で。ね、岩ちゃん?」
「おう。すげー楽しそうだった」
『う、わ…///』
それは、恥ずかしいかも。赤くなって顔を押さえていると、及川さんは微笑んだ。
「金田一のこと、大好きなんだね」
『はい、わたしのジマンの彼氏ですっ!』
「くぅ~、見せ付けて!このこの~!」
そうやってみんなで賑やかに笑う。自分の好きな人の話をこんな風に共有できるのが、すごく嬉しかった。
だから気付かなかった。わたしたちをそっと見詰める、その影に。