Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第21章 誕生日と彼女《金田一 勇太郎》
【蒼井 side】
1ヶ月間続いたバイトも、今日で最後。土曜日の今日はお客さんも多いのに、店長さんは夕方にわたしを呼んだ。
初めの従業員用の部屋に通され、向い合わせのソファに座る。店長さんが取り出したのは、茶色い封筒。
「はい、1ヶ月お疲れさま。今日はこれで上がって良いよ」
『えっ…もう良いんですか!?』
「ああ。正直、君の働きは予想を上回るものでね、こっちも助かったよ」
そう言って店長さんは笑う。
「ところで、特に深い意味は無いよ、でもなんでバイトしようと思ったの?」
『あ、えっと…』
これって、正直に言うべきかな?
『実は、付き合ってる彼氏の誕生日が近くて。前からほしがっていたものをプレゼントしてあげたかったんです』
「それで、バイトか」
こくりと頷くと、店長さんは懐かしいなぁと目を細めて笑った。
「俺にもそんな時期があったよ。彼女のために慣れないバイトしてな」
『へぇ、そうなんですかぁ…』
「だから蒼井も彼氏を大事にしろよ?」
それと、バイトする時はまたよろしくな、と手を差し出す。わたしは感謝を込め、力強い握手した。
制服を着替え、店を後にし、そぉっと封筒の中を覗いてみる。福沢諭吉サンがいち、にぃ…5人!?人生で初めてのお給料に浮かれそうになる。というかこの時点で浮かれてるよね。
勇くんの誕生日は週末が明けた月曜日。それに間に合うようにプレゼントを買いに行かなくちゃ。
『明日にでも行こうかな…』
わたしはルンルンと足取り軽く、家に帰るのでした。