Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第21章 誕生日と彼女《金田一 勇太郎》
長身の男2人(運動部)が並ぶと、心なしか歩道も狭く感じる。ぽつりぽつりと話しながら、国見に訊くきっかけを探す。
「…でさ、数学、あいつが寝てたからノート見してもらえなかったんだよ」
「ハハッ、そりゃ災難だな。それよか国見も授業中に寝るなよ」
「だって、ツラいし…」
「そのクセ、なんとかしろよ。中学の頃からぐーすか寝てたろ?」
「いや、眠気は悪魔だから。マジで」
んなワケあるかよ、と笑い合う。と、笑いが収まったところで、思いきって言ってみた。
「あのさ…海宙、最近ヘンなんだよ」
話題が変わったのに驚いたのか、前を向いていた国見がパッと俺を見る。
「ヘンって…どこが?」
「いや、なんかさ…俺に対する態度がよそよそしいっつーか。デートも全然行かなくなっちまったし…なんか知らないか?」
そう訊けば、国見は目を泳がせる。もしかして、何か知ってるとか?
「り、理由とか分かるのか!?」
「知ってるよ、なんでそんな態度なのか。でも悪いけど、理由は言えない」
「そっ、か…」
「大丈夫、あいつはバカだしアホだしちんちくりんだけど、ちゃんとお前のこと好きだから。信じてやれよ、な?」
「お、おう…だよな!」
バカでアホでちんちくりん…人の彼女に言う言葉かよ。しかも自分のいとこだし…
そう思って、強がって笑ってみる。だが、それとは反比例するかのように、不安は増すばかり。知ってるけど言えない理由、って。なんだよ。
俺、いつかフラれるのかな…
彼女を信じたいという気持ちとは真反対の、邪(よこしま)な考えが頭をよぎった。