Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第21章 誕生日と彼女《金田一 勇太郎》
【金田一 side】
今日は月曜日、だから部活はオフ。せっかくだし彼女の海宙と帰ろうと思い、隣のクラスに顔を出す。
と、そこにちょうど国見がいた。声を掛けこっちに来るように呼ぶ。
「なあ国見、海宙どこいる?」
「あ…もう帰ってるかも。掃除でもないのにすごい急いで出てったから」
「そ、そっか…サンキュな!」
「おー」
生徒玄関へと一人トボトボ向かいながら胸の内でため息を吐く。
「ハァ…またか…」
"一緒に帰ろうにも海宙がいない"
これは今日に限った話じゃない。たしかゴールデンウィークが終わった頃から、海宙に会えない日が続いている。
いつもなら俺の部活が終わるのを待っていてくれた。だが最近は、下駄箱に"先に帰っている"といった内容の手紙を、度々見るようになった。
それは部活が無い日も例外でなく、教室に迎えに行っても、姿は無い。運良く会えたとしても"用事があるから"と、放課後デートを断り、さっさと帰ってしまうのだ。
いつもなら、嬉しそうに笑い、手を繋いで、出掛けるのに。休日はいろんな所に連れていったのに。放課後も寄り道したのに。
「俺、何かしたっけか…」
彼女は態度が表に出やすいから、へそを曲げたらすぐ分かる。それに、理由を訊いたらちゃんと教えてもくれる。だからケンカはそんなに長続きしなかったのに。
これって、俺を避けてる?
もしかして、嫌われてる?
俗に言う、倦怠期ってやつか?
考えれば考える程に思考はドロドロし、抜け出せないループの中に堕ちていく。
「国見にでも訊いてみっか…」
そう思った俺は廊下を引き返し、1年6組へと向かう。国見に一緒に帰ろうと誘うと、掃除が終わってからな、といつも以上にダルそうな顔が返ってきた。