Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第21章 誕生日と彼女《金田一 勇太郎》
着いた先は、学校からわりと近いオシャレなカフェだった。中に入ると、店長さんが待っていて、すぐに面接になった。店長さんは随分若い人で、まだ30代らしい。
ぞろぞろと従業員用の部屋に入る。そこで、店長さんは怪訝そうに訊いた。
「一静君、彼らは…?」
「知り合いです。気にしないでください」
「ああ…それより面接だな。えーっと…蒼井海宙さん、高1ね」
『はい。松川さんに短期のバイトがあると教えて貰って。両親が喫茶店を開いていて、手伝いは良くしていたので、接客と少しなら調理もできます』
「彼女、真面目だし良い子だよ」
松川さんもわたしをプッシュしてくれる。
「分かった。一静君の紹介だし、彼女もしっかりしてるから問題ないだろう!」
店長さんはそんなに考える様子もなく、契約書を取り出し、必要な内容をスラスラと書いていく。わたしも名前を書き、終了。
「じゃ、明日から早速よろしくね」
『はい、お願いします!』
こうして面接は無事終わり、翌日からバイトが始まった。平日は学校から直接通い、土日も午前中から夕方まで。ハードで大変だったけど、接客はとても楽しかった。
バイトを始めて1週間経ったある日曜日。カランカランと来客を告げるベルが聞こえて、慌てて接客に向かう。
『いらっしゃいませーって、英!?』
「よぉ。暇だから来てやった」
そこにはパーカーにジーンズというラフな出で立ちの英の姿が。
『え、だって、部活は?』
「午前中が練習試合。その後はフリー」
『へぇ、そっか』
英を空いている席に案内し、メニューを見せる。少し悩んでから、英はチーズケーキのセットを選んだ。お、カワイイじゃないか。
『お待たせしました、チーズケーキです』
「ん、どーも」
珍しくお客さんも少ないので、英の前に座ってみる。英はおいしいね、と呟き、パクパクとケーキを食べる。
「プレゼント、買えそうなの?」
『うん。喜んでほしいから頑張んなきゃ』
「そっか。ご馳走さま、お会計ね」
『はーい』
「返事、伸ばさない」
『はいっ!』
会計を済ませ、帰る直前、英は振り向いてニヤリと笑った。
「接客、なかなか様になってたよ」
『あ、ありがとー!』
英の言葉に元気付けられる。よーし、残りの3週間も頑張るぞー!