Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第21章 誕生日と彼女《金田一 勇太郎》
どうどう、と及川さんがわたしを宥めようとする。それをスルーして、英が話し出した。
「ところで、金田一の誕生日が来月なんですよ。プレゼント、何が良いと思います?」
「俺良い方法思い付いたよ!」
『なんですか、及川さん?』
訊いてみると、爽やかな笑顔が返ってきた。及川さんはわたしの頭をぽんと叩き、それからにっこりと笑う。
「頭にリボン付けて"プレゼントはわたし"って言うのはどうd…」
「アホかクソ川、ボゲェッ!」
「ぎゃー!?」
おふ、痛そうなげんこつ。苦笑いするわたしに、知ってるかもと言ったのは花巻さん。
「前に欲しいって言ってたんだよなー」
そう言って花巻さんは手に持っていたスポーツ総合雑誌をパラパラと捲る。そして、付箋の付いたところを開いて、印の付けられた物を指差した。
しっかり目の素材の青いナップザックにフェイスタオルとタオルハンカチ、さらには2枚のスポーツ用Tシャツ。
「有名なスポーツメーカーの詰め合わせ的なやつ。あいつの好きなメーカーでさ」
『へぇ、良いかも…って、高っ!?』
いち、じゅう、ひゃく、せん…12500円!?ゼロが1コ多い、ゼロが!
リュックから出したおサイフをそっと覗き見る。この前ゲーセンで使って、その前は駅の方で遊んで…ありゃ、野口英世サンが3枚しか無いですね。
『むりむりむりむり…買えないです』
「やっぱキツいか…でもそれならバイトとかすれば良いんじゃねーの?」
『あ、その手がありますか!』
「なら俺、良いバイト知ってるよ」
そう言ったのは松川さん。なんでも、知り合いが飲食店をやっていて、一人が入院して1ヶ月程来れないらしい。人手が足りないのでちょうど探していたとか。
『それはぜひ、お願いします!』
「おう。じゃ電話するな」
松川さんに連絡してもらい、すぐにでも面接をしたいとのこと。そんなわけで、月曜日の今日、放課後にお店に向かうことに。
「店の場所分かんないだろ?俺連れてくよ」
「そーなの?じゃあ俺もー!」
「面白そーだしついてくわ」
部活が休みだという及川さんと花巻さんが言い、岩泉さんと英は仕方無く一緒についてくることになった。