Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第20章 ★文学少女の恋愛論《二口 堅治》
ビピピピピ…という無機質な音で意識が浮上した。頭のすぐ上で鳴り響く目覚まし時計を止め、時刻を見れば8時。寝坊した…
ぱちり。ぱちくり。ぱちぱち。
見回せば、見慣れない部屋。そっか、堅治さんのお部屋…暗闇にぼんやり映る彼の姿を探そうと、もそりと寝返りを打つ。
『いっつ…!?』
つきん、と下腹部と腰に痛みを感じた。思ったよりも大きな声が出てしまい、慌てて口を押さえる。だが一歩遅く、堅治さんはもそもそと動き、欠伸を1つした。
「ふわ~。あ、起きてる」
おはよ、と言うのは少し掠れた声。そして慈しむような目線で私を見詰める。朝から心臓に悪いものを見ました。
『おはよう、ございます』
「うん、おはよ」
『あの、なんだか腰が痛いような…?』
「あー、それ女子特有かもな。昨日の夜セックスしたからだと思うよ」
『せっ…///』
途端に赤くなる私を、堅治さんはククっと喉の奥で笑った。それからどちらからともなくキスをした。
彼との初めての情事の後の朝。それは、なんだかくすぐったい朝だった。
そして直後、気が付いた。なんか、肌がすーすーするような…?そろりと布団を捲れば、何も身に着けていない。
『きゃー!?』
「え、何、どした!?」
『なっ、何も着てない!私っ、全裸!?』
「今さらかよ(笑)」
面白いもん見たわー、とげらげら笑う堅治さん。私はそれどころじゃないから、掛かってたタオルケットを体に巻き付けた。
『ふ、服、どこ!?』
「ベッドの下。脱いだままだから」
『うぅ…///』
恨めしそうに堅治さんを睨んだ。つもりなのに、堅治さんはカワイイだけだよ、と私の頭をコツンと小突いた。
この人には、敵わないな。
そう思いながら、いそいそとベッドの下に散らかる下着を集める。見ないでくださいね!と釘を打っておいてから、身に着ける。
後ろからは、クスクスと笑う声が聞こえるから、堅治さんはさっきのことでも思い出して笑っているのだろう。
さっきまでのムードも、へったくれも無いじゃないか。それでも、私たちらしいのかなと思う。
飾り気も無いけど、これが私たち2人のありのままなんだな、と。