Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第20章 ★文学少女の恋愛論《二口 堅治》
幸いなことに今日は土曜日。着替えを借りてドアを開けば、美味しそうな匂いが漂う。
『堅治さんのお母さんは早起きですね』
「そーかな?普段はそうでもないし、俺は海宙がいるからだと思う」
『そうなんですか…』
ぴょんと跳ねた鬱陶しい髪を縛ろうと、ゴムを鞄を探そうと立ち上がる。と、不意に後ろから腕を引かれた。
『わ!?』
「こーら。また敬語になってる。それに名前も呼び捨てで良いよ?」
立ち上がった堅治さんの腕の中にすっぽりと収まる私。身長の差があるから、堅治さんの声が直接耳に届いてドキドキする。
『そ、それはハードルが高いかも…』
「言ってくれないならセックスするよ?」
『あーもう、堅治っ!///』
半ばやけになりながら叫ぶように言えば、合格だな、と首の後ろに唇が当たる。それからちうっ、と吸われるような感覚。
「はい、俺のってシルシ付けといたから」
『え、うそ!?』
「大丈夫。制服からは見えないから」
『そっ、そういう問題じゃ無いよ!』
お母さんにバレるかもしれないと、赤面して戸惑う私を、堅治さんはそれは可笑しそうに笑った。
『け、堅治…』
「ん?」
『私は口下手だし、恋愛経験無いから困らせたりするかもしれないけど…』
「そんなの、気にしないから」
俺は海宙が好きなーの!と堅治さんは後ろからむぎゅーっと抱きしめる。
『堅治…』
「なーんですか?」
『大好き…っ///』
「俺も、好き…」
そして唇が重なり…そうになった時。階下の堅治さんのお母さんの呼ぶ声が聞こえた。
「2人ともー、起きてるんでしょ?早く降りてきなさいよー」
「あー、わーってるよ!」
雰囲気ぶち壊しやがって…と不貞腐れる堅治さんが面白くて、クスリと笑みを漏らす。
「何笑ってんの~?」
『ふふふ、ごめん、可笑しくって…』
そうやって笑い合いながら、心から思った。
この人が、好きだと。
恋については右も左も分からないけど、
堅治さんとなら大丈夫だと。
付き合う前までは"恋愛なんて"と
思っていた私だけど、恋を知って、
世界が明るくなって、毎日が楽しくて。
ありがとう、堅治さん。
こんな私だけど、
これからもよろしくお願いします。
END.