Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第20章 ★文学少女の恋愛論《二口 堅治》
【蒼井 side】
『………と、いう訳です』
「へぇ、じゃあ海宙ちゃんも二口先輩と付き合うことになったんだ!」
『うん』
もぐもぐ。卵焼きを食べながら答える。今はお昼休み中、教室で所謂(いわゆる)"ガールズトーク"をしている。昨日のことを紫乃ちゃんに報告すると、おめでとうと愛らしい笑顔が向けられた。
だが困ったことに"付き合う"ということ自体が分からない。異性と付き合うのは人生史上初のことだし、右も左も知らないことばかり。
『でも、付き合うって具体的に何するんだろう』
「う~ん、高伸さんもそんなに口数が多いわけじゃないからね…」
『恋愛小説とか読んだら参考になるかな?』
「マンガとかでも良いかも!」
帰りに本屋さんに寄ってみよう、ということで話がまとまった。先に帰っていることを2人に伝えようと、お弁当を仕舞って2年A組に向かった。
向かった2年A組のドアは、閉め切られていた。紫乃ちゃんに少し待ってて、と伝え、コンコンッとドアをノックし、ドアを開けた。
『失礼します、二口堅治さんはいらっしゃいますでしょうか?』
「あれ、海宙じゃん!」
二口先輩は私に気付くと食べ掛けのパンを持ったままこっちに来た。後ろの紫乃ちゃんに気付くと、今度は青根先輩も呼んだ。
二口彼女か~?やるな~、とクラスメイトの囃し立てる声に、カァッと顔が赤くなるのを感じた。ドキドキと心臓が世話しなく拍動している。なんだろう、初めての感覚。
そうこうしていると、二口先輩が目の前に立っていた。
「で、どしたの?」
『えっと、今日の放課後は紫乃ちゃんと本屋さんに寄るので、先に帰っていても良いでしょうか?』
「ああ、良いよ。今日は俺らも部活が遅くなりそうだったし。な、青根」
「紫乃、帰りは気を付けろよ…」
「はい…///」
赤くなる青根先輩と紫乃ちゃん。その姿がなんだか初々しくて、思わず笑みが零れた。
「なんか見ててウケる。あ、これ食う?」
『へ…むぐ!?』
答える前に口に何かを放り込まれる。慌てて咀嚼(そしゃく)すれば、さくり。ふわっと甘い味がした。
『メロン、パン?』
「そ。焼きそばパンも食って腹いっぱいだからあげるわ」
『あ、りがとうございます…』
そして午後の授業があるからと自分の教室に戻ることになった。