Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第19章 ☆ドキドキデート《赤葦 京治》
~おまけの1コマ~
【NO side】
赤葦と蒼井がラブラブデートにいった翌日である。梟谷高校のバレー部は大いに荒れた。主にキャプテンの木兎が。
「デートでキスしただとぉ!?」
「って、赤葦が言ってた」
「木葉さん、余計なこと言わな…」
「ずりーぞ!」
「何がですか」
「俺も蒼井にチューしたい!」
「人の彼女にやめてくださいよ」
「ほーら、そうやって彼氏ぶる」
「なんなんですか…」
げらげら笑う木葉。理不尽極まりない屁理屈を赤葦にぶつける木兎。困り果てる赤葦。
何故木兎がここまでつっかかるのか。というのもフラれた直後だから。正に言う、八つ当たりである。
そんな様子を哀れみというか、冷めきった目で見詰めるマネージャー2人。そこへ木兎から逃げてきた木葉も混じり、言葉を交わす。
「しかし木兎のやつ、荒れるなー」
「木葉が火に油を注いだけどね~。独り身だから、悲しいんでしょ。赤葦を取られるみたいでイヤ、とか~?」
「独り身かぁ、木葉と同じだね」
「お前なぁ…」
「木兎もねー、もうちょっとこう、ね…」
「ファンは多いし~、モテるのにね~」
「「「なんでだろう…?」」」
3人揃って首を傾げる。"なぜ、うちの主将はモテないのだろう"と。
考えてみれば、女子のファンは多い。それに試合ではスパイクを決めれば、歓声と共に黄色い声も上がる。
しかしそれを台無しにしてしまう"しょぼくれモード"。モテないのはテンションのアップダウン、その存在のせいだろう。
ぎゃーぎゃー騒ぐ2人(主に木兎)。そこへやって来たのは、タオルを取りに行っていた蒼井である。赤葦の、彼女の。
『ごめんごめん、遅れ…ちょ、木兎!?』
「何だよ、リア充!」
『京治君から手ぇ離してよ!』
赤葦の胸ぐらに掴み掛かる木兎。それに気付いた蒼井は慌てて駆け寄り、赤葦からべりっと木兎をひっぺがす。
タオルを放り投げ、掴まれていた胸ぐらをさすってくれるその姿は、さながら天使のようだ、と赤葦は思う。
赤葦に心配そうに声を掛ける蒼井。その姿に、疑問を持った木葉は口にしてみた。
「あれ、お前…」
『木葉、何?』
「京治君なんて呼んでた?」
シーン…と静かになる。その直後、"例のあの人"の怒号が飛び交った。