Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第19章 ☆ドキドキデート《赤葦 京治》
楽しい時間はあっという間に過ぎ、あと少しで閉園時間になってしまった。
「最後に1つ寄りたいんですけど…」
『うん、じゃあその後で帰ろっか』
赤あ…京治君と手を重ね、向かった先は…
『観覧車…』
「はい。ラストはこれかと」
なんて、乙女心の分かる彼氏なんでしょう!最後の最後にこのチョイス、完璧すぎる。
ゴンドラに乗り込み、向かい合わせに座る。ゆっくりと上昇し、景色が変わっていく。この間、一言も喋ってないけど。
『今日は、楽しかったね』
「海宙さんの意外な面も見れましたし」
『ホラー映画は見ないからねー』
そう言って、クスクスと笑った。
「そういえば、この観覧車に乗ってキスしたカップルは、お互いをより好きになれるらしいですね」
『おー、よくあるジンクスですな』
観覧車あるある、だね。なんかそういうのかわいいなぁ、と思っていたら、不意に京治君が私の隣に座った。
「試してみませんか、ジンクス」
『う、ん…///』
くい、とあごを掴まれ、京治君の方を向かされる。どくどく鳴る心臓を感じつつ、そっと両目を閉じる。唇にふわ、と柔らかい感触。
『っん…あ、京治、君…』
「ふ、緊張してる…」
触れるだけのキスは、いつの間にか深いものへと変わり、お互いの舌を絡めている。2人きりの密室に、キスの音が響く。
ちゅ、と離れると、2人の間を銀色の糸がつぅと繋いだ。
「ごちそうさまです」
『と、溶けるかと思った…///』
こてん、と京治君に頭を預ける。京治君は何やらカバンをごそごそ漁っている。
「っと、あったあった」
『何、それ?』
京治君の手には、小さな箱。渡されたそれをそっと開くと、そこには雫のモチーフの淡い水色のイヤリングが入っていた。
『わぁ、かわいい…っ!』
「付けてあげますね」
京治君の手がイヤリングを摘まみ、そっと私の耳に触れる。
『ひゃ…っ///』
「変な声、出さないでください」
『だって、んっ…』
耳が弱いの、知ってて選んだとか…?京治君ならあり得なくもないぞ。
「できた。似合ってます」
『えへへ、ありがとう京治君!』
「わ、海宙さん…///」
むぎゅ、と彼に抱き付く。珍しく照れる京治君、レアだ。観覧車が地上に降りるまでの数分間、そうやってくっついたままでいた。