Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第19章 ☆ドキドキデート《赤葦 京治》
それから、午前中は見れなかったアトラクションを片っ端から回った。シューティングものとか、水を被るやつとか。
お化け屋敷の件でちょっとへそを曲げた私を、赤葦君は優しくエスコートしてくれた。真摯かつ紳士すぎるその手に、さすがに私も折れざるをえなかった。
現在、園内のカフェテラスで休憩中ですが…
『赤葦君優しすぎて、なんか、やだ』
「あれ、こういう扱い嫌ですか?」
ちょっと大人気ないかな、とも思いつつ、その質問に答えた。
『だってね、ただでさえ年上ってことで気を遣わせてないかな?って心配なんだもん。だからね、普通にしてほしいな、普通に』
私は結局のところ"普通"が良いんだと思う。"普通"っていうのは難しいけど、でも一番落ち着けるんだと思う。
「そうでしたか、それはすいません」
『ほらね、赤葦君いつも敬語だよ』
「これはクセです。それよりも、海宙さんはいつになったら俺のこと名前で呼んでくれるんですか?」
思わぬ切り返しに、目をぱちくり。それからぶわっと熱が集まって顔が赤くなり、しどろもどろになった。
『いや、それは、そのっ心の準備が…』
「この半年、準備してなかったんですか?」
『うん。ちが、違う、あの…』
慌てふためく私を赤葦君は笑い、1つの提案をしてくれた。良くも、悪くも提案を。
「じゃあ俺、飲み物買ってくるんで、その間心の準備しておいてください」
『はい…』
そう言って売店へと走る赤葦君。その背中を見詰め、ぽつりと呟いてみる。
『けい、じ。京治、君………っ///』
っ、う、わあぁぁぁあ!!!
ダメだ、本人の前じゃないのに恥ずかしい。
この精神状態、キツいです。どうしよう言うべきなんだけど、言えるかな…と悶々とする私の元へ、早くも飲み物を買った赤葦く…じゃなかった、京治君が帰還。
「ただいま、海宙さん」
『あ、おかえりー、け、京治君!』
さりげなく、言ったつもりだった。でもちょっとだけ不自然だったみたいで、京治君は首を傾げて笑った。
「なんか、新鮮な感じですね?」
『うぅ、恥ずかしい。でも、嬉しいな』
「俺も嬉しいですよ」
それから顔を見合わせてはにかむように笑った。名前って、良いなぁと心から思った。
京治君への好きだよって気持ちも、ね?