Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第19章 ☆ドキドキデート《赤葦 京治》
『ん、ナポリタンおいひぃ!』
「カルボナーラもいけますよ」
くるくるとフォークにパスタを巻き付けて口に運ぶ。クリームソースにブラックペッパーがアクセントになっていて美味しい。
『赤葦君、一口ちょーだい』
「はい、あーん」
フォークの先にパスタを巻いて、その口の前に差し出す。海宙さんはキョロキョロと周りを気にしている。
『や、あの、自分で食べるよ…?』
「だめです。はい、口開けて」
『い、一回だけだよ///』
それから彼女は恥じらいながらもパスタを口にした。今の、写真に撮りたい。モグモグと咀嚼して、それから笑みを浮かべた。その笑顔が美味しさを物語っている。
『赤葦君も、あーん?』
「いただきます…あ、うまい」
ナポリタンをパクリ。トマトに野菜の歯応えが合っている。
それから食後のデザート。俺は辞退したけど、海宙さんはイチゴのショートケーキをチョイスした。
『んー、甘い!』
「女の人って甘いもの好きですよね」
『おいひぃもん、別腹だよ♪』
甘い、美味しいと顔を綻ばせる彼女に、俺も嬉しいような幸せな気持ちになる。見てるだけなのにな、不思議だ。
『ごちそうさま。あ、トイレいいかな?』
「はい。会計しておくんで、店の前で」
割り勘だからねー?と念を押す海宙さん。残念ながら、彼女に払わせるつもりは無い。
店の前に立っていると、ポケットの携帯がリロリロうるさい。誰だよ、と思うと案の定木兎さんだった。
"デート、楽しんでんのかー?"
"なんかプレゼントしてあげろよ!"
何件にも及ぶ通知、喧しい…でも、あの人なりに心配してるんだろうな。まったく、憎めない人だとつくづく思う。
"言われなくても、そのつもりです"
それだけ返信すると、こっちに駆けてくる海宙さんの姿を見付けた。
『ごめんね、お待たせしました』
「いえ。じゃ、お化け屋敷、行きますか」
『ハイ…わー、楽しみだなぁ…』
明らかにテンションの下がった彼女を笑いながらも、どんな反応が出るかとわくわくしている自分に気付くのだった。
俺って、けっこうSだったんだな。