Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第19章 ☆ドキドキデート《赤葦 京治》
料理が出てくるまでは、なんてことない雑談。先に運んでもらった飲み物を飲む。海宙さんはストローでアイスコーヒーをかき混ぜた。カラン、と涼やかな音がする。
コーラを一口飲み、そういえば、と俺は口を開いた。
「木兎さん、彼女にフラれたらしいですよ」
『へぇ。あ、なんか落ち込んでたかも』
「いつもはヘイヘイのあのテンションなんで、落差がありますよね」
『それについてく彼女も大変だよねぇ…』
軽くキャプテンをディスってますけど、日常茶飯事なので気にしない。それよりも、俺が気になるのは話題。
『でね、木兎がさぁ…』
『インナースパイク、もっと決まれば…』
『しょぼくれるとホント面倒なんだよねぇ』
木兎さんの登場率、高すぎません?引きつりそうになる顔を、表情筋フル動員でどうにか抑える。耐えろ、俺。
どんなひどい顔だったのか、海宙さんはクスリと笑いながら言ってきた。
『赤葦君、顔すごいよ?』
「え、あぁ、すみません…」
『どしたの?』
「いえ、木兎さんの登場率が高くてですね」
そこまで言ってハッとした。いやいや、何言ってるんだよ俺。これじゃただの面倒くさい男じゃないか。ハラハラする俺に、彼女はふふっと笑った。
『それってさ、やきもち?』
「え…?」
やきもち、つまり嫉妬?
俺が、木兎さんに?
そんなわけ…と考え、ふと思い出したのは、部活のこと。木兎さんといる海宙さんを見る度に、胸の辺りがモヤッとした。
「そう、かも、しれないです」
『え、ウソ、本当!?』
「はい」
『わぁ、どうしよう』
なんか、嬉しいかも…///
上目遣いで見てくる彼女。悩殺されそうだ。そう思った矢先、料理が運ばれてきた。できたてホヤホヤのカルボナーラとナポリタン。いい匂いだ。
「…とりあえず、食べますか」
『うん、そだね』
いただきます。と手を合わせる彼女。日常では垣間見ることのできない律儀な一面に、口許が弛んだのは、ここだけの話。