Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第19章 ☆ドキドキデート《赤葦 京治》
座席に座り、ベルトをしっかりと締める。万が一外れでもして振り落とされたら大変だ。
『わー、けっこう高いねぇ…』
「あれ、怖いんですか?」
挑発するように言ったら、素直な海宙さんはいとも容易くつれた。そう、それこそ肉につられる誰かのように。
『そんなんじゃないもん』
「ならお化け屋敷も平気ですね?」
『うん、全然平気だよ…あぁっ!?』
はい、引っ掛かったー。どうしようどうしようと頭を抱える彼女。足も宙をパタパタ動いてるし、手もなんか不思議な動き。要するに、動きがコミカルでかわいい。
「落ち込むのは後で。そろそろ落ちますよ」
『この精神状態で…っきゃ――――っ!?』
ガクン、と揺れたかと思うと、一番下まで急降下。それから上昇と下降を繰り返す。止まった瞬間だけふわっと体が浮くみたいで、不思議な感覚だった。
『きゃあぁぁぁぁぁあっ!!!』
「これ、死にそ…」
がくがくと体を揺さぶられる感覚が続き、本格的に酔いそう。ようやく止まった時には、2人ともよろよろだった。
『うぷ…調子に乗り過ぎた…』
「ちょっと、疲れましたね…」
お腹も空いてきたので、そのままお昼ご飯を食べることに。ファミレスが園内にあるようなので、そこで済ませることになった。
お昼時とあってか、店内は少し混んでいたけどすぐに席が空いた。メニューを見ながら何を頼むか考える。ハンバーグ、ランチ…あ、パスタにしよう。
「海宙さん、決まりましたか?」
『んっとね、このカルボナーラとこっちのナポリタンの間で揺れてる』
「それなら両方頼んで半分にしましょうか」
『赤葦君は、良いの?』
心配そうに俺の顔色を窺う海宙さんに、俺は優しく笑った。
「俺もカルボナーラ食べたかったんで」
『そっか!』
そう言うと、海宙さんはボタンを押し、注文をした。
『カルボナーラとナポリタン1つずつ。あと、飲み物がアイスコーヒーと…?』
「あ、コーラで」
店員はかしこまりました、と去っていった。飲み物のオーダーも忘れない。パスタの時もそう、俺に1つ1つ確認してくれるその心遣いに、笑みが零れた。