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Volleyball Boys 《ハイキュー!!》

第19章 ☆ドキドキデート《赤葦 京治》



さっきの宣言通り、俺をドキドキさせようとしてくる海宙さん。繋いだ手を指を絡めて恋人繋ぎにしてきたり、誘うように笑ってくる。うん、かわいいな。

『赤葦君っ、次あれがいい!』

「え、フリーフォール?」

海宙さんが指差すのは、タワーのようにそびえ立つフリーフォール。ちょうど急降下するところで、悲鳴が聞こえてくる。

意外とチャレンジャーだな、いや、負けず嫌いなのかもしれない。まぁ、その面は俺も負けてないけど。

「分かりました。その代わりと言ってはなんですけど、後でお化け屋敷行きましょうね」

『う、はぁい…』

渋い顔で口を尖らせる海宙さん。なるほど、ホラー系は苦手らしい。内心でほくそ笑む俺に、彼女は太陽みたいな笑顔を向けた。

『じゃあ、あっちまで競争ね!』

「えっ、ちょ…」

俺の返事も待たず、海宙さんは駆け出した。人混みに紛れるその背中を慌てて追いかける。やれやれ、本当に木兎さんみたいになってるんじゃない?

あんなのが2人、それは疲れるな…

ヘイヘイヘーイ!と騒ぐ2人を想像したところで、止めた。病みそう。思考から木兎さんを追いやったところで、姿の見えなくなった彼女が向かったであろう、フリーフォールへと急いだ。

人混みを掻き分けなんとか辿り着くと、けろりとした顔の海宙さんがいた。

『おー、赤葦君来たー!』

「迷子になったらどうするんですか…」

乱れた呼吸を整えつつ歩み寄ると、なんで?と笑みが返ってきた。

『そんなことないよ?』

「どうでしょうね…」

『だって、私がどこにいたって、赤葦君なら見付け出してくれるでしょ?』

面食らって目を丸くする俺。ありゃ、違ったですかね?と首を傾げる彼女。なんだか堪らなくかわいく見えて、その華奢な体を腕の中に閉じ込めた。

『わ、赤葦君…///』

「どうして貴女はそんなにも…っ」

俺を乱すんですか…

「見付けます、見付けますよ。例え地球の裏側にいたって、宇宙にいたって」

『ふは、それは言い過ぎ。でも…』

ありがとね、赤葦君?

満面の笑みでそんなことを言われたら、俺の心はもたないじゃないか。

内心今すぐキスしたい衝動に駈られ、悶絶する俺。それを知らない彼女は、無邪気に順番を待っているのだった。

ああ、無自覚恐るべし。


    
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