Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第19章 ☆ドキドキデート《赤葦 京治》
【赤葦 side】
それからは、海宙さんの乗りたいアトラクションをメインに乗った。
3つ目のコーヒーカップではぐるぐる派手に回しすぎて、海宙さんは軽く酔っていた。ジェットコースターでも酔ってたよな。
近くのベンチに座り、休憩をする。
「海宙さん、具合はどうですか?」
『ん、だいじょぶ。赤葦君がなでなでしてくれたらもっと元気になるかな、なんて』
てれっとして笑う海宙さん。なるほど、撫でてほしいのか。左手を伸ばし、結わえられた髪を崩さないよう撫でる。
『え、いや、冗談だってば…///』
「あれ、顔赤いですね。熱ですか?」
こつ…とおでこを合わせれば、その頬はますます赤くなる。これは、クセになるな。
『や、赤葦君…ち、近いよ…///』
クスリと微笑んで、俺はその唇にちゅ、とキスをした。ふと香るのは、甘酸っぱくて爽やかなモモの香り。
「モモ…?」
『あ、今日のリップ色付きで香り付きなの』
「それで甘いんだ…」
俺はてっきり、海宙さん自身が甘いんだと思った。そう呟けば、そんなわけないじゃん、と口を尖らせる彼女。
ヤバい、かわいい。
今日一日、俺の脆い理性がもつかどうか。
片手で口許を覆い、弛む顔をどうにかしようとする。視界の端にはキョロキョロ見回す彼女の姿。くい、とシャツの裾を引かれる。振り向くと、不意打ちで唇が降ってきた。
目を丸くする俺に、彼女はいたずらっ子のように笑った。飴玉を貰った時と同じ笑顔。
『バスのお返し。私ばっかりドキドキするの、なんかやだ。赤葦君もドキドキして?』
そんなことしなくても、
俺の心はいつだって、
海宙さんのことばかりなんだ。
「じゃあ、今日のデート、どっちがドキドキさせられるか勝負です」
『もちろん、負けないもんね!』
にぱっと笑う海宙さん。なんだか木兎さんにも似てるみたいだった。似るのは良いですけど、まるっきり同じにはならないでくださいね?