Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第19章 ☆ドキドキデート《赤葦 京治》
お互いの印象、それから付き合うきっかけを回想、話した。
『………』
「………」
『私って不思議な人、かなぁ…?』
「俺ってそんなに暇そうですかね」
ちらり、横を見れば彼と交わる視線。それから顔を見合わせてプッと吹き出す。クスクスと笑っていたのが、いつの間にか声を上げて笑っていた。
『あっはは、あはははっ、ふふふ』
「くくっ、先輩、笑いすぎですよ」
『赤葦君もだよ。笑ってるじゃん』
「だって…あ、先輩」
『な…』
なぁにって言おうとして、言えなかった。その言葉は彼の口に塞がれて、吸い込まれるように消えていって。ちゅ、と離れる唇。頬が熱をもっていて、熱い。
見詰める赤葦君の瞳は、私だけを映していて。ふと、幸せだなぁと思った。彼は私に手を伸ばし、そっと頬に触れた。
「先輩、もう一回…」
『だーめ、赤葦君ここどこか分かってる?』
「どこって…バスの一番後ろの席ですけど」
『バレたらどうするのよっ!?』
小声で叫ぶ。すると、赤葦君はニヤリと笑った。黒い笑みだ、黒い。
「スリルがあって良いじゃないですか」
『そんなスリルは無くてよろしい!』
前髪の掛かるおでこをつんっとつつく。赤葦君がその手を掴み、指先にちゅと口付けた。そしてそれから手を繋ぐ。
「分かりました、後にします。それよりも早く着かないですかね」
『うん楽しみ。久し振りのデートだしね』
「練習が続いてましたからね…」
『仕方無いよ。インハイが近いもんね』
「勝ちます。だから見ててください」
『うん』
ぎゅっと握った手、指をそっと絡める。繋いだ手から伝わる体温。それと、負けないよ、好きだよ、っていう気持ち。
私たちを乗せたバスの向かう先は、都内のとある遊園地。今日は付き合って6ヶ月記念日、いわゆる遊園地デートなのだ。