Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第18章 夏の病?《チーム音駒》
そしてドラッグストア近くの公園で、お菓子パーティーである。補足すると、あの後飲み物も買った。
『灰羽くん、チョコ溶けてる!』
「うお、マジか!?」
「研磨さん、パイの実1ついいですか?」
「芝山はいいよ。でもリエーフはだめ」
「なんで!?」
『夜久さーん、クッキー1つくーださい』
「おう。はい蒼井、あーん」
『んむ、おいひぃ!』
「やっくん、俺もあーん」
「てめえで食え、てめえで」
「いやん、やっくん怖い♪」
「…蹴るぞ(怒)」
ちぇ。なんだよ。蒼井のあーんが羨ましかっただけじゃんかよ。すると蒼井が俺の前にちょこちょこ歩いてきた。こう見ると、なんかちっせー。烏野のチビちゃんみたいって言ったら怒るか?
『黒尾さん、黒尾さん』
「ん?」
『はい、口開けてください』
「ん、何これ」
口に入れられたものはすっぱくて、むにっとしてて、それから甘い。
『ピュレグミです。どうですか?』
「うまいな」
『ふふ、カゴ持ってくれたお礼ですよ』
みんなには内緒ですよ?と口に指を当てる蒼井。いたずらっ子みたいなその表情に、目を奪われる。
「お、おう。サンキュな」
『はい!』
「俺も混ぜてくーださーい!」
そこにリエーフ乱入。お菓子を食って、笑って、リエーフが蹴られて。良く分かんないけどわちゃわちゃして、それから解散になった。
蒼井を一人にするのは心配だったので、俺が代表して送っていってやることになった。
『すいません、黒尾さん』
「いーのいーの。素直に送られとけ」
なんですかそれ、と笑う。それから雑談やら世間話やらであっという間に家である。もう少し話したいと思いつつ別れの挨拶を口にした。
「じゃーな」
『ありがとうございました。明日も猛暑日になるらしいので、気を付けてくださいね』
「何に?」
『ねっちゅうしょ…』
そこまで言ったところで言葉が途切れた。街灯に照らされる2人の影がゆっくりと重なる。唇が触れたのは、ほんの一瞬で。俺はすぐに離れた。
「じゃ、また明日なー」
刹那の出来事。やっちまったという後悔と、どこから来るのか喜びと。唇、やわくてぷるぷるしてたな。でも明日からは口利いてくんねえだろーな。自嘲的に笑い踵を返して歩き出した。
『ま、待って!』