• テキストサイズ

Volleyball Boys 《ハイキュー!!》

第18章  夏の病?《チーム音駒》



振り向く寸前、飛び込んでくる蒼井。転ばないよう、慌てて抱き留める。ふわり、と甘くて優しい、フローラルな香りがした。

『黒尾さ、あの…』

「悪い。つい、やっちまったわ…」

『あっ、謝らないでください!』

がばっと顔を上げる蒼井。その頬は心なしか赤い。

「でもお前、好きなヤツいるんだろ?」

『~っ!だからそれは…』

クイっとジャージの裾を引き、背伸びする。それから耳元でそっと聞こえた。


黒尾さんなんですってば―――


直後、一歩下がって俯く蒼井。信じられなくて、俺は問い掛けた。

「え、マジで、ガチで?」

『じゃなかったら言いません…///』

上目遣いで、頬を膨らませる。それだけで俺はノックアウトされちまう。

こうなったら伝えよう。でも、いざってなると気恥ずかしいもんだな。照れ隠しに頭をガリガリと掻きながら言った。

「順番が前後したけど、そのよ…俺も蒼井が好きだ。だから俺と付き合ってくんねーかな…?」

『そんなの、良いに決まってますっ!』

それから抱き付く蒼井。今この瞬間、俺の、彼女になった人。その温もりを感じてしばしの抱擁、それからゆっくりと離れる。

『あれ、黒尾さん顔赤いですよ?』

「あー、熱中症じゃね?」

お前のせいで、俺の心は多分熱を出すくらいに熱くなるんだ。

『ふふふ、そうかもしれませんね』

やわらかく笑う彼女の表情。これからもっと、いろんな顔を見たいと思った。笑ってるのも怒ってるのも泣いているのも。その全てを知りたいと思った。

だがずっと家の前にいるわけにもいかず。

「じゃあ、またな」

『はい。あ、待って。黒尾さん』

「ん?」

『黒尾さん、――――――――――――?』

彼女の言葉に、頬が弛む。それからもう一度、今度は少しだけ長い口付けを交わした。


黒尾さん、ねっ、ちゅう、しよう―――?




                  END.
/ 535ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp