Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第18章 夏の病?《チーム音駒》
蒼井は目をぱちくり。それからジト目でリエーフを見る。
『え、灰羽くんそんな目で見てたの…?』
「リエーフ、さいてー」
うわぁ、と言いながら後退り、研磨の方に近付く蒼井。研磨からも罵られる。リエーフはあらぬ誤解を解こうとハイハイで追い掛ける。
「違います!俺じゃないっす!」
『やだ、来ないで。孤爪助けて~』
「なんでおれ…暑いから来ないでよ…」
立ち上がって追い掛けるリエーフ、走って逃げる蒼井、その2人から避難しようとする研磨。端から見ればかなり笑える図だ。現に夜久が爆笑してる。
そしてリエーフが後ろから蒼井を捕獲。じたばたと蒼井がもがくが、リエーフががっちりと押さえている。
『やだっ、灰羽くんっ!』
「俺そんな目で見てないっす!」
『わ、分かったから、放して…///』
離れたリエーフから即座に距離を置く蒼井。くるんとリエーフに背を向ける。リエーフはしょげた顔をしたが、すぐに笑顔になった。
それからニヤリ、不敵に笑う。俺に目配せをするけど、何を伝えたいのか分からん。とりあえず適当にオーケーしておく。右手の親指を立てて、ぐっ。
リエーフもぐっ、と返し、俺の目の前に仁王立ちする蒼井にそろりと近付いた。その背中にそぉっと手を伸ばす。
『黒尾さん、余計なことしないでください。何してるんです…』
「せーんーぱいっ!」
『何、リエ…きゃあっ!?』
至近距離にいた俺には分かった。乾いたパチッという音。それから蒼井は腕を胸の前で抱えてしゃがみ込んだ。
これはあれだな、ブラパッチン。
「でかした、リエーフ!」
「えっへへ~」
「アホッ!」
「ぎゃーす!?」
えへへ、と照れるリエーフのケツに強烈な蹴りが炸裂した。勿論、やっくんの。
「夜久さん、いてーっすよぉ…」
「リエーフが悪いぞ」
「黒尾さん"でかした"って言った!」
『りえぇぇぇふぅぅぅう…(怒)』
地の底から鳴り響くような声に、リエーフが振り向く。その動作は機械仕掛けのロボットみたいで、ギギギ…と首が軋む。
その視線の先には、憤怒の表情を浮かべている蒼井が。
「せ、せんぱ…」
『リエーフの…ばかぁっ!』
スパァンッ!と見事な平手打ちがリエーフの左頬に命中した。