Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第17章 Summer's Memory《チーム青城》
膝から顔を出して、言葉を紡ぐ。
『照れるっていうのは違うかな…そう思ってくれてるのは嬉しい。私も好きだもん、みんなのこと。でもね、なんていうかな…』
う~んと唸った後、発した言葉。
『LikeであってLoveじゃない、かな…』
それは水にすぅっと溶けるようで。リンゴが重力で落ちるように。その言葉は、俺たちの胸にすとんと落ちてきた。好き好きと、日本語にすると同じなのにこうも違う。
『勿論、みんなの気持ちは嬉しいよ。こんなにたくさんの人に好かれるなんて、人生で空前絶後だし。でも今は、そういうの考えられない。それに、春高あるし…ね?』
思い遣りのある優しい蒼井のことだ。春高前に余計なことを考えさせたくないっていうのもあるんだろう。
「でも、それってさ。俺らにチャンスは等しくあるってことだよね」
及川の言葉に、フッと緊張感が弛む。
『まぁ、そうなるよね』
「なら、誰が海宙ちゃんの彼氏になっても恨みっこ無し、だね」
『なんで彼氏になる決定なの?他校の人かもしれないじゃん。烏野とか、白鳥沢とか』
あー、伊達工のにろくんも良いなぁ。でも烏野の11番背ぇ高くてカッコ良かったなぁ。なんて言うもんだから、全員目が点。それから蒼井はプッと吹き出した。
『なわけないじゃん。他校に目移りはしないもん。でも彼氏になりたいなら、春高終わってからね。全国連れてってくれるんでしょ』
挑発にもとれるその言葉に、全員で顔を見合わせ、ニヤリと笑う。そうだ、俺たちは全国へ行くんだ。絶対王者、白鳥沢を倒して。
最初で最後の春高、行ってやるんだ。
「じゃ、とりあえずサクッと全国行って、それから及川サンは告白しようかな~?」
「お前は既にフラれてるだろ」
「え、京谷先輩も好きだったんですか?」
「るせー///」
「松川とか意外だわー」
「花もだけどな(笑)」
『国見、キャラメルー』
「キスしてくれるなら良いですよ」
「国見ちゃん!?」
『えー、どうしようかな?』
「海宙ちゃんんんん!?」
恋への淡い期待と、全国という舞台へのカウントダウン。それらを感じながらも、今この瞬間はバカみたいに騒いでても良いと思った。