第17章 　Summer's Memory《チーム青城》

前日の疲れか、先輩は朝ご飯ギリギリまで寝ていた。試合の時よりも遥かに疲れた気がするのは、太陽の下で遊んだからか。ちなみに、及川さんと国見と京谷先輩も熟睡中だ。

「悪い金田一、起こしてやれ」

及川さんを起こす岩泉さんに言われ、うすと返事。とんとん、と肩を叩く。

「先輩、朝っすよ。みんな起きてます」

『ん…寝る…』

「起きてくださーい、せんぱーい」

『んもぅ、るさぃ…』

「へ？」

腕を引かれえぐらりとバランスが崩れる。視界が回って、目の前には先輩の顔が…って。

…え、顔？

布団に転がる俺。俺に抱き付いているのは先輩。体に当たるのはどこもかしこも柔らかい。

「ちょ、先輩！？」

『ん～、金田一ぃ…あったかぃ…』

「いや、暑いですから！夏ですから！」

胸にほおずりをしてくる先輩。気持ち良さそうな顔にぷるんとした唇。それから微かに当たる胸…ダメだ、心臓バクバクしてるし、頭はクラクラしてきた。

「せ、先輩…あの、俺…っ///」

「蒼井ー、金田一困ってんぞー」

『…ん、もう朝ぁ…？』

岩泉さんの声に、ぱちりと目が開く。それからにこりと笑った。天使の笑みだ。

『あ、金田一だ。ふふ、おはよ？』

「おっおは、おはよう、ございます…///」

ふわぁ、と欠伸をする。そして不思議そうな声がした。

『あれ、なんで金田一？』

「お前が抱き付いたんだよ」

岩泉さんが何があったのかを話すと、先輩はコメツキバッタみたいにぺこぺこ頭を下げてきた。

『うそぉ！？ゴメンねぇ金田一！』

「はい、いいえ！」

「どっちだよ(笑)」

岩泉さんが笑う。ヘンなこと言っちゃった。ちらりと先輩を窺うと、クスリと笑っていた。

クソ川いい加減起きろごらぁ！と岩泉さんの怒号が飛び、及川さんが起きる。先輩が鼻を摘まみ、息苦しくなった京谷先輩が起きる。国見は及川さんに乗られて起きた。

『あー、及川さん。それ危険なんでやめて』

「なんで？」

『いや、構図的にBLっぽい…』

「「やめて」」

国見と及川さんがハモる。岩泉さんも花巻さんも松川さんも大爆笑。朝から賑やかだなぁと思った。