Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第17章 Summer's Memory《チーム青城》
手持ち花火に火を着け、様々な色と光を楽しむ。シュボーッと燃える花火、綺麗だ。
「いーわちゃーん、あははっ!」
「あっちぃ!及川お前ッ!」
及川さんが両手に花火を持ち、くるくる回る。あ、岩泉さんに殴られた。
『ね、京谷、金田一、国見、誰が一番長くもつか、線香花火しようよ』
同時に火を着けてしゃがむ。少しの静寂の後、パチパチと花火が弾ける。
『最後まで残った人さぁ…』
「はい?」
『1つだけ言うこと聞いてあげるのどう?』
「良いですね」
「俺も!」
「………」
京谷先輩は無言だったけど、珍しく国見もやる気だった。バチバチバチッと激しく花火が燃え、ぽとりと落ちた。
「あ、落ちた…」
「プ、金田一ビリ~」
「国見お前な…あ、落ちた」
『私と京谷、どっちかな…あっ!』
「俺の、だな」
最後まで残ったのは京谷先輩。何を言うか考えていたその時、少し離れたところで夜空に華が開いた。少し遅れてドドーンという音。
「どっかで花火大会でもやってんだな」
『わぁ、綺麗…』
綺麗なのは、先輩ですよ。なんて、及川さんならスラッと言っちゃうんだろうな。
ドーン
パラパラパラ…
ドドーン
パッ…
全員で同じ時間、同じ瞬間を共有している。そのことがなぜだか急に大切なことに思えた。そして最後の一発が空に消えていった。
『あ~あ、終わっちゃったね』
「最後の何本か、やっちまうか」
ラストの数本を終え、部屋に戻る。それからは雑談に花を咲かせた。京谷と仲良くなったなとか、及川さんと岩泉さんが逆ナンされたとか、くっだらない話。でも、楽しかった。
『眠たい、寝ようよぉ…』
「寝てて良いよ。海宙ちゃんおやすみ」
『おやすみ、なさい…』
よっぽど疲れたのか、すぐに規則正しい寝息が聞こえてきた。それに誘われるかのように、眠気がやって来た。
「俺も、寝る」
「国見もか。ならもう寝るか」
電気を消して、タオルケットに潜る。睡魔がそこまでやって来ている。さすがに疲れた。寝そうになったその時、ぼそりと声が聞こえた。
「狂犬ちゃん、起きてる…?」
「…何すか」
「海宙ちゃん、ありがとね」
「…うす」
そんな会話を微笑ましく思い、目を閉じる。そして深い眠りへと吸い込まれていった。