Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第17章 Summer's Memory《チーム青城》
【金田一 side】
旅館に戻り、そっこーで風呂を浴びた。海水の塩で頭から足までザラザラべとべと。さっぱりして浴衣に着替えて晩ご飯。昨日と同じく豪華だった。
『あ、ミドリさん特製からあげ!』
「海宙ちゃん好きだし、男の子も食べると思ってたくさん作ったのよ」
大皿にこれでもかと載せられたからあげ。サクッとじゅわっとして、めっちゃうまい。白飯が進む。おひつのご飯も、からあげも、出された料理を俺らは全て食べ尽くした。
『ん~、疲れたぁ~』
食後すぐに敷いた布団の上で、ごろごろと転がる先輩。俺と国見も転がる。
「腹いっぱい…」
「眠たい…」
『あ、そうだ!』
ばっと起き上がった先輩。目がキラキラとしている。
『花火やりたい!』
「お、良いね海宙ちゃん!」
『そこのコンビニで買って、玄関前借りてみんなでやろうよ!』
「じゃ、俺と及川とで買ってくるわ。あとは水とか火とか用意しとけよ」
岩泉さんが及川さんを連れてコンビニに行った。その間にミドリさんに事情を話し、その他もろもろ用意する。
昼間の余韻だろうか、夜だというのに外の空気はむしっとしていた。バケツに水を汲み、火を着けるようの小さなろうそくを用意。
戻ってきた岩泉さんと及川さんは、ビニール袋に幾つも花火を買ってきた。
「ありすぎじゃないっすか?」
「こんぐらいで良いだろ」
『わ~い、花火だ~!』
花火を受け取り無邪気に喜ぶ先輩に、ドキリとする。なんだこれ、ヘンなの。俺の視線に気付き、先輩は首を傾げて笑う。また、ドキリ。
夏だからか、そうか暑いからだな。
意味不明な理由をこじつけて、俺は思考からそのことを追い出した。なぜだろう、先輩の笑顔が頭から離れなかった。