Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第17章 Summer's Memory《チーム青城》
【京谷 side】
戻ってきたあいつらは全身びしょ濡れだった。蒼井にタオルを投げて寄越すと、不思議そうに首を傾げた。
「あ?何だよ…」
『いや、別になにも。ただ、なんか京谷優しいなぁって思っただけ』
そんなことを言われると思わず、顔を逸らす。ふふふ、と笑い声。
『あ、照れてる。京谷かわい』
「…るせっ///」
口にした言葉はせめてもの照れ隠しだ。
それに、かわいいのはソッチだろ。ラッシュガードを脱いだからか、栗色の髪に映えて白い肌が余計に目立つ。水着も似合うしスラリと伸びる脚も綺麗だ。
なんて、言ってやんねーけど。
「で、お昼どうするの?」
『海の家で食べますか。お昼過ぎたから人も空いてるんじゃないかな』
防水の腕時計を見れば、2時近い。ということは4時間近く遊んでたのか。この炎天下で。
「よーし、じゃあサイフ持って行こー!」
「及川のテンション気持ちわりぃ」
「マッキー傷付くからヤメテ!」
騒ぐ先輩たちの後ろを、ぽてぽてと蒼井がついていく。俺は黄色いラッシュガードをその背中にぶん投げた。
『っわぷ、京谷?』
「ソレ、無いと焼けるんだろ。着とけよ」
『おぉ~、気が利く。ありがと!』
んしょ、と羽織る蒼井の横に並んで歩く。こうすると良く分かるが、意外と小さい。それに全体的に線が細っこいし、腰なんかポッキリ折れそうだ。
個人的にはもう少し肉付きが…
と、そこまで考えたところで止めた。何考えてるんだよ。これじゃ及川さんと変わんねぇ。
『…ねぇ、京谷ってば百面相だよ?』
「え、ああ」
『ヘンなの~。それより何食べようかな』
「焼きそば、焼き鳥、お好み焼き」
『あっはは、焼いたのばっかり』
指折り数える俺をけらけらと笑う蒼井。屈託が無く、誰にでも等しく向けられるその笑顔は、ヒマワリみたいだった。