Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第17章 Summer's Memory《チーム青城》
~2日目、朝。~
【及川 side】
ホーホーポッポー、と聞こえるのは、ノバトの鳴き声だろうか。独特のリズムだから、すぐに分かった。それとセミ。まだ朝だというのに、ジージーシェーシェー、忙しそうだ。
「おら、起きろ」
「う、岩ちゃん…?」
頭を平手でべしっと叩かれる。ぼんやりと映る視界には、幼馴染みがいた。ふと、見慣れない景色にあれっ、と思う。そうだ。伊豆半島は下田、俺たちは旅行中なんだった。
むくりと起き、部屋を見回す。起きているのは俺と岩ちゃん、それと金田一だった。
「あ、ハヨザイマス!」
「おはよ、金田一」
国見はタオルケットを抱き枕みたいにしてる。マッキーって寝相良いんだ、あ、まっつんの足が脱走してる。ふと思い付いた俺は、そろりとスマホを出して、何回かシャッターを切る。
「及川?」
「ふっふっふ、使えるものはたくさんあった方が良いんだよ」
「…なんか、殴って良いか?」
「理不尽!?」
さて、海宙ちゃんにモーニングコールをしてあげよう。と思ったら、思いもよらないものを見てしまった。
「なんで、狂犬ちゃんと…」
海宙ちゃんと京谷はお互いに向き合うようにして寝ていて、その手は握られていた。