Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第17章 Summer's Memory《チーム青城》
部屋に戻ると、陸人と呼ばれていた人がテーブルを用意しているところだった。
「お、もう戻ってきたんだ」
「海宙ちゃん、この人誰だっけ?」
コソコソと及川が蒼井に耳打ちする。聞こえたのか、陸人と呼ばれていた人は話し出した。
「そういや自己紹介してなかったな。俺はこのちんちくりんのいとこで、陸人だ。ま、テキトーに呼んでくれ」
『ちんちくりんって…』
ぷぅっと頬を膨らませる蒼井。すると、及川はズイッと陸人(呼び捨てで良いか)に近付き、その手を握った。
「陸人さん、いえ、お兄さん。海宙ちゃんは俺が幸せにします」
『はぁ、ちょっと及川さん!?』
「このちんちくりんのマセガキに貰い手がいるとはな。じゃ、頼むわ」
「お任せください!」
『陸人、違う違う。この人はそんなんじゃないから。バレーが上手くて人より見た目がちょっと良いだけの高3男子だから』
ブッと及川以外が吹いた。それにしてもヒドイ言われようだ。人より見た目がちょっと良いだけの。こう言われると及川も可哀想に見えてこないでもない。
「え、彼氏とかじゃないん?」
『なわけ。ただの先輩だよ。あ、紹介するね。バレー部のみんなです』
それから蒼井は俺らの紹介を大雑把にした。及川はハショられたけど。
それから程無くして夕食が運ばれてきた。色とりどりの野菜に、海の幸。とても豪勢で、タダで泊まって良いのかと訊きたくなる程だった。