Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第17章 Summer's Memory《チーム青城》
珍しく長風呂(といっても男子の感覚なので30分くらい)をした俺らは、脱衣場で用意されていた浴衣に着替えた。
白地に紺色の朝顔が描かれたそれは、通気性が良く、涼しかった。鏡に映る自分を見て、誰に言うともなく呟いた。
「ほー、意外と似合うもんだな」
「狂犬ちゃん、ギャップがウケるー」
げらげらと笑う及川に、京谷に青筋がピシリ。及川のケツに躊躇の無い蹴りが飛んだ。今のは及川が悪い。
ラウンジに向かい、自販機で飲み物を買った。風呂上がりのコーラは旨い。もう1つ欲張れば、甘いシュークリームも食べたい。
この前の試合で誰がどうしたとか、及川が烏野マネにガン無視されたとか、どうでも良い内容に花を咲かせること十数分。パタパタとスリッパの音がした。
『ごめんごめん、遅れちゃったね』
パタパタ音の正体は、俺らの待ち人、蒼井だった。ほんのりと上気した肌に浴衣の襟から覗く鎖骨がなんとも色っぽい。
かわいいなぁとか、エロいなぁといった内容を頭の中に浮かべるであろう男子高校生たち。普通は口に出さないが、アホが一人。
「…前言撤回するわ。お前、色っぽいな」
「ブフォッ!」
飲んでたコーラを吹き出した。京谷がまたしても爆弾発言をした。言われた本人はというと、わなわなと屈辱に震えている。
『な、によぅ…こんの、色ボケバカっ!』
「そうだよ狂犬ちゃん!」
「『及川さんは黙って!』」
味方に付いた及川まで罵られる有り様だ。笑わないはずがない。落ち込む及川と口喧嘩を繰り広げる2人以外は全員が爆笑した。
「本当のこと言っただけだろ」
『それが余計だって言うの!』
「男子高校生なんてそんなもんだろ」
『言っても良いこととダメなことがあるん…あ、バカな京谷には分かんないよねぇ』
「テメッ…!」
「はいはい、そこまでだ」
「落ち着こう、な?」
今にも殴り掛かりそうな京谷を岩泉が後ろから押さえる。俺も蒼井の肩を叩いてクールダウンを促した。
「お前の一言が悪いぞ京谷。でもな、蒼井も言い過ぎだ。それはお互いに分かってんだろ?」
『…ごめん、なさい』
「…悪かった」
岩泉に諭され、2人ともが謝った。
「さ、ご飯だよ。早く部屋戻ろーね!」
復活した及川がその場をまとめ、一行は部屋に戻った。