Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第17章 Summer's Memory《チーム青城》
夕飯には早く、出掛けるには時間が足りない、そんな夕方4時30分。
『どうしよう、ヒマだ…』
畳に転がる蒼井は深刻そうな顔でぽつりと呟いた。
「ヒマっつってもな…何すんだ?」
そう問い掛けると、少し考えてから言った。
『あ、温泉。ちょっと早いけど温泉入ろう。それから、浴衣着てご飯にしよう!』
「お、浴衣いっすね!」
『金田一もそう思う?』
「はいっ!」
「ばーか。あのな蒼井、金田一はお前のかわいい浴衣が見たいだけなの」
「花巻さん!?」
『あはは、花巻さんってば。そんなわけ無いじゃん。ねぇ、松川さん?』
「さぁ、どうだろう?」
曖昧に、というかただ単純に悪い笑みを浮かべる松川に、えぇ!?と蒼井が驚く。それからみんなで風呂に向かい、1時間後にラウンジで待ち合わせることにした。
時間が早いこともあって、風呂はがらんどう。俺らだけの貸し切り状態だった。
「広い+貸し切り、最高だな」
「女子風呂もがらがらなんじゃね?」
松川と話しながら服を脱ぎ、さっさと浴場に入る。シャワーを浴びて軽く汗を流し、それから浴槽にダイブ。
長距離移動で疲れた体を、ちょっと熱いお湯が労るようだった。まあ、率直に言うと。
「気持ちいぃ…」
「あー、風呂っていいわー」
「先輩方、オッサンくさいです」
「国見ぃ、言うなこのっ!」
「うわ、何するんですか」
「俺もまーぜて!」
水を掛け合う松川と国見。そこに及川が飛び込んだ。そっからはもう、な。3年生対1,2年の水掛け合戦。どれくらいハデだったかというと、隣の女子風呂の蒼井に聞こえるくらい。
『ちょっと、そっちうるさい!上吹き抜けで繋がってるんだから!』
お風呂くらい静かにしなさい!と叱責が飛ぶ。素直な金田一はショボくれたが、及川は俄然元気を取り戻した。
「及川サンだよー、聞こえるー?」
『疲れを癒してるんで、黙ってもらえます?』
「えー、疲れなんて大丈夫だよ。今夜ベッドで及川サンが癒してあげr…」
「いい加減にしやがれ、クソ川ッ!」
ガッツンと岩泉の鉄拳。
『うっわ、及川さんサイテー』
グッサリと蒼井の氷の言葉。
及川、ありゃ再起不能だな。どこにいても変わらない光景に、松川と2人苦笑いした。