Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第17章 Summer's Memory《チーム青城》
【及川 side】
今日は待ちに待った旅行の日!今回参加するのは3年生が4人、2年は狂犬ちゃん。1年は金田一と国見。矢巾と渡は私用で来れないとのこと。交通費は、部費が下りた。ま、合宿扱いで!
朝の7時、仙台駅前に集合。高速バスに乗って、東京まで。横浜まで電車、それから小田急線に乗り換えて一気に下田まで行くらしい。
駅に岩ちゃんと一緒に行くと、俺たちが最後だった。
「おはよー、みんな!」
「おっす、及川、岩泉。おせーぞ」
「悪い、クソ川がトロくて」
『岩泉さん及川さん、おはようございます』
マッキーの後ろからひょっこり現れた海宙ちゃん。カラコロと小さなスーツケース。夏らしく、少しヒールの入ったサンダルに、紺色のキュロットスカート。それから半袖の真っ白なシフォンブラウス。
制服でもない、ジャージでもない私服姿。清楚でかわいらしいその姿は、俺の心をぐわっと鷲掴みにした。ああもう、かわいすぎて直視できないんですけど!
『あの、及川さん?バス来ますよ?』
「え、あぁ、うん」
ぼさっとしてると置いてきますからね、と怪訝そうな顔で言うと、海宙ちゃんは寝惚けた狂犬ちゃんの背中を押しながら、バスへと駆けていった。
さぁ、俺も行かなきゃ。これから起こるであろう楽しい出来事にワクワクしつつ、俺は置いていかれないよう、急いでバスに乗り込むのだった。
乗り込んだバスは、東北自動車道を南下し、東京を目指す。俺たちの他に、乗客はいないので、思いっきりはしゃぐ。
「岩ちゃん、マッキー、まっつん、王様ゲームしようよ。王様は勿論おr…」
「おい誰か、包丁持ってねーか」
「岩ちゃんッ!?」
『くーにみー、キャラメルちょーだい!』
「先輩もなんかください」
『はい、チョコとこーかん。金田一も!』
「あ、アザッス!」
「甘…」
「…すぅ、すぅ」
『あ、京谷起きてよ、京谷!』
「…るせぇ、蒼井」
「いだい、いだい、岩ぢゃん!?」
「お客さん、少し静かに…」
賑やかな笑い声とお菓子の匂いを乗せ、バスは一路、東京へと急いだ。