Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第17章 Summer's Memory《チーム青城》
目をパチクリさせる及川さん。でも、言葉の意味を理解したのか、すぐに満面の笑みへと変わった。
「ホント!?」
『静岡の、伊豆半島ですけど…』
「行く、行きたい、行かせてくださいッ!」
がばりと頭を下げる及川さん。でも2人で行くのはさすがに気が引ける。
『良いですけど、条件ありますよ』
「…条件?」
『バレー部のみんなも行くこと。それと、今度の春高、白鳥沢なんてブッ倒して、全国に連れていくって、約束してください』
その言葉に、騒いでいた部員たちもシン…と静かになる。何かを堪えるように拳を握り、俯く及川さん。その体は、震えている。
『あの、及川さん…?』
「海宙ちゃんッ!」
『は、はいっ?』
「大好きッ!」
『はいっ、えっ!?』
ぎゅむっと及川さんに抱きしめられる。全く以て訳が分からない。ヘルプの意味で3年生に視線を送ると、何故か涙目。
『あの、及川さんっ離し…///い、岩泉さん花巻さん、松川さん、た、助け…』
「なんか俺、スゲーぐっときた…」
「岩泉、俺もだ…」
「白鳥沢、ブッ倒さねーとな!」
「海宙ちゃん、大好きだぁッ!」
『ひゃ、及川さんっ、離して…///』
「及川さん、何やってんすか!」
べりっと矢巾が及川さんを引き剥がす。及川さんの抱きしめる力が強くて、窒息するかと思った…
『矢巾、ありがと…』
「蒼井があんな良いこと言うとはな」
『は、何が?』
状況を飲み込めず、今一ピンと来ない私をよそに、何故か一致団結する部員。
「よーし、海宙ちゃんのためにも憎きウシワカを倒して全国!その前に海だー!」
おぉーッ!と叫ぶ男子高校生ども。一体なんなんだ、これは。なんのカオス。
斯くして、私たち青葉城西高校バレー部面々は、静岡の海に行くことになりました。