Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第17章 Summer's Memory《チーム青城》
【蒼井 side】
ジージーミンミン、シェーシェーシェー。外ではセミの大合唱。鳴き声を聞くだけでも、夏だなぁと思えるから不思議だ。
さてさて、そんなセミの鳴き声響く青葉城西高校。第3体育館では、いつものように及川さんがごねています。
「岩ちゃん、今度の休みに海行きたい!」
「んなヒマあるか!」
「行きたい行きたい行きたい~ッ!」
「黙れボゲッ!」
ドカッと鈍い音。及川さんは足を押さえて痛みに悶える。
「2人とも試合ではカッコいいのに…」
「騒がしい…」
『なんとも滑稽な…あれが主将とは…』
その光景を見る金田一、国見と共に、呆れ果てる。毎日、いや中学からアレに付き合っている岩泉さんがスゴい。
くるり、と及川さんは振り向き、こっちをジッと見詰める。サッと目線を逸らす1年生2人。あ、私のこと見てる…次の瞬間、及川さんがイノシシみたいに突っ込んできた。
『わあぁあ、及川さん!?』
「海宙ちゃんも海に行きたいよね!?」
『あ、私行く予定あるんで。大丈夫です』
その言葉に、及川さんがピタリと静止した。それからニヤリと笑って言った。
「それ、俺も連れてっt…」
「あほかッ!」
「ぶべ!?」
…正確には、言おうとした。またしてもごね始める及川さんに、部員一同開いた口が塞がらない。コレが俺らの主将か、コレがあのスゴいトスを上げる人と同一人物か、とでも言うように。
ずっとこのままじゃ、埒があかない。それどころか、今後の練習にも支障が出る。もはやこれしか手は残されていない。
『…及川さん、海、行きますか?』