Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第16章 勘違い+片想いの結末《山口 忠》
山口君は目を丸くして言った。
「ツッキーのことが好きなんじゃ…」
『なんで?私が好きなのは山口君だよ?』
ぷしゅーと音をたて、またまた真っ赤になる山口君。頭から湯気が出るんじゃないかってくらい、真っ赤。
「そっか…良かった、俺の勘違いで」
『良かった、って…?』
訊き返すと、山口君は照れたようにはにかみながら言った。
「蒼井さんのこと、好きだからさ…」
その言葉に、今度は私が驚く番だった。
『山口君は仁花ちゃんが好きなんじゃ…?』
「え、俺はずっと蒼井さんが好きだよ?」
しばしの沈黙。顔を見合わせて、プッと吹き出す。それから声を上げて笑った。
『ふふ、あー笑った』
「俺たち、2人とも勘違いしてたんだね」
『うん。片想いだけど両想いだったんだね』
「あの、もしだよ、良かったらだけど…」
俺と付き合ってくれないかな?
それは、私がずっと聞きたかった言葉で。
嬉しくて、ほろり。
涙が頬を伝う。
「えっ、そんなに嫌だ!?」
『ちが、くて。嬉しいの…あり、がと…っ』
精いっぱいに笑ってみせると、腕を引かれる。山口君の腕の中と気付いた時には、心臓は破裂寸前。トクトクと山口君の音が伝わる。
ぎゅうっと力強く抱きしめられる。山口君の気持ちが伝わってくるようで、こそばゆいような、嬉しいような。
「俺、そんなに強くないし、ツッキーより全然頼りないけど。でも絶対幸せにするから!」
『うん、うんっ!ありがとう…』
私も背中に腕を回し、ぎゅうと抱きしめる。
そして、どちらからともなく重なった影。
片想いから始まった恋だけど、
2つの勘違いを経て、
ちゃんと結ばれましたとさ。
めでたし、めでたし。
END.