Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第16章 勘違い+片想いの結末《山口 忠》
~オマケの1コマ~
【NO side】
水を汲んでくるね、と言い残し、マネージャーである清水潔子はその部屋を後にした…後輩である山口忠と蒼井海宙を残して。
そして足早に向かったのは仲間の所。少し離れた場所に集まる彼らを、ちょいちょいと手招きする。
「いい感じだよ」
その一言に、ホッとした表情を見せるのは、3年の澤村と菅原と、そして東峰だ。
「両想いなのに気付いてなかったもんな」
「ホンと。見てるこっちはすぐ分かったのにな。どっちも鈍感すぎるんだべ」
「じゃあ明日から付き合うのかな?」
それぞれの反応を見せる3人。その表情は、後輩を思い遣る先輩のものだった。
今回のアクシデント、実は清水たち3年が考えたもの。通り雨が予想される時間帯に技とお使いに行かせ、そのままくっつかせようとしていた。
計画は上手くいき、後輩たちも付き合うことになりそうで、ようやく落ち着けそうだ。
練習に戻る途中、すれ違った5人の2年生たちにもそのことを伝える。途端に険しい顔になったのは、田中と西谷だった。
「あんのフニャフニャ野郎め…」
「俺たちより先に彼女だと!?」
「しかも我らがマネージャー海宙!?」
「ジーザス!」
「お前ら、黙れよ…」
「…うるさい」
げんなりする縁下。ピシャリと言ってのけた清水に、2人が床にべたーと這いつくばる。その光景に、清水は眉間のシワを深く刻んだ。
「潔子さんッ!」
「やっぱり貴女は女神で…」
「…踏むよ」
「「むしろ踏まれたいッ!」」
床を転がり、自身の妄想に悶絶する2人に氷のような軽蔑の視線を向ける清水。それを澤村と菅原がなんともいえない顔で眺める。
「あいつら…懲りないな…」
「もはや罵られることが嬉しいんだべ」
はぁ、とため息を吐きながら、清水は3人へと問い掛けた。
「あの2人、大丈夫かな…」
「ここまできたら、自分達でどうにかするだろう。山口だって男なんだしな」
「だな!」
「海宙ちゃんは…」
「ああ見えて胆が座ってるからな。しっかり伝えるんじゃないか、自分の気持ち」
「そっか」
主将らしく、後輩たちの特徴を熟知している澤村に感心しつつ、清水は自分の仕事に戻るのだった。
今度こそEND.