Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第16章 勘違い+片想いの結末《山口 忠》
【山口 side】
ドラッグストアに向かって歩く俺…の隣に蒼井さん。現在、お使いのお手伝い中です。
『…でね、月島君が日向君に呆れてね。その時なんて言ったと思う?』
「うーん、ツッキーなら…"日向、日本語理解できてる?"とかかな」
『そう、そうなの!』
なんで分かるのー!?とケラケラ笑う彼女。でもその心に俺はいない。だって、蒼井さんはツッキーのことが好きなんだ。
ツッキーは昔からモテるし、女の子に人気があった。でも、今回は堪えた。蒼井さんのことが好きだから。
ツッキーと上手くいきますように、と願っている。なのに俺の方を振り向いてくれないかな、なんて思ってしまう。そして今、彼女の隣にいることに喜んですらいる。ひどい人間だと我ながら思う。
そんな俺の心中を知る由もない蒼井さんは、みんなの話をしながら笑う。鈴が鳴るようなかわいい声が、俺の鼓膜を震わせる。ついでに心も震わせる。
『…君、山口君?』
「…っあぁ、ゴメン。ぼーっとしてて…」
ふふ、と笑みを浮かべる彼女。まるで天使みたいな微笑みだなぁ、なんて思った。
ドラッグストアに着くと、お目当てのスポーツドリンクの粉を探しに向かう。俺の持つカゴに、彼女がどっさり入れる。
会計にレジに並ぶと、ふとカゴか重くなったのに気付いた。見ると、お菓子が数個、追加されている。
「え、コレ…」
『ちょっとなら良いよって、潔子さんが』
無邪気に笑う彼女を見て、やっぱり思った。
好きだなぁ、と。