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Volleyball Boys 《ハイキュー!!》

第16章  勘違い+片想いの結末《山口 忠》



人見知りだったり、自分に自信が無かったりするけど、本当はスゴい日と、だと思う。努力する姿勢は人一倍真面目、それに人と接するときは分け隔てないし。

そんな彼に惹かれるのは、必然だった。

そんな彼に好きな人がいると知ったのは、夏休み合宿の直前だった。山口君の視線の先には、いつも仁花ちゃんがいた。

それに気付いた瞬間、ツキンと胸が痛んだ。私の恋が叶わないことへの失望に、悲しみが広がる。片想いでも構わない、両想いになれなくても構わない。

見ているだけで良い、だからどうか、彼の恋が叶いますように。

ちょっぴり切なさ、それと山口君が私に少しでも好意を抱いてくれたらという淡い想い。その2つを抱えての夏休み合宿だった。


―*―*―*―*―*―*―*―*―*―


「海宙ちゃん、ちょっと良いかな?」

潔子さんに呼ばれたのは、合宿3日目の晩ご飯後のことだった。

『どうしました?』

「実はね、スポーツドリンクの粉が無くなっちゃって。明日の朝の分がないの。それで悪いんだけど、買ってきてもらえるかな?」

『分かりました、パパッと行ってきます!』

「場所は…えっと、ここから10分くらいのハミマの隣って森然の主将が言ってたよ」

潔子さんからお金を貰い、近くのドラッグストアに行くことになった。お使いはマネージャーのお仕事だもんね。

玄関で靴を履き替えていると、後ろから誰かに呼ばれた。

「あれ、蒼井さんどこか行くの?」

『山口君!』

振り向くと、山口君の姿。うっすらと汗をかいているから、練習の後かな。

『すぐそこのドラッグストアまで。ハミマの横にあるよって』

「そっかー。じゃあ俺も行くよ」

『えっ!?』

ビックリするのと裏腹に、心はちょっとワクワク、ドキドキ。だって2人でお使いなんて、潔子さんありがとう!

「こんな時間に一人じゃ危ないからね」

『う、ん。ありがとう、山口君』

自分だって練習で疲れてるのに、人のことを気遣ってくれる。彼の優しさが嬉しい、でも仁花ちゃんにはもっと優しいんだろうな、とか思うと切なくなった。

そして、2人で他愛の無い話をしながら、目的のドラッグストアへ向かった。


     
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