Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第16章 勘違い+片想いの結末《山口 忠》
【蒼井 side】
とある世界のとある場所。
そこには青春を謳歌する
少年少女がおりました。
少年も少女もお互いを好きなのに、
いつまでたってもまるで気付かない。
これは、鈍感な2人が結ばれるまでの
小さな、小さな恋のお話です。
世間では楽しい楽しい夏休み。
リア充を満喫するも善し、勉学に励むも善し、好きなことに没頭するも善し。
何でもアリの素敵な1ヶ月間。
でも、私の所属する烏野高校男子バレー部にはそんなの関係無い。
お昼ご飯後、午後の試合までの時間。少しの時間も練習に努力を惜しまない。ある人はサーブの、ある人はレシーブの。またある人はアタックの。
それぞれの練習をこなしている。目指すは春高、県内の強豪校を全て倒しての全国出場だ。
「それにしても、関東は暑いね!」
『本当、温暖化も進んでるしねぇ…』
「ハッ、南極の氷が全て融けたら地球が水没してしまう!?」
『仁花ちゃん、それは、無い』
「そ、そっかぁ…」
需要の多いドリンクを用意しながら、同じく1年でマネージャーの仁花ちゃんと話す。
仁花ちゃんは極度の心配性なところがあるから、見ててハラハラしちゃうことも。特に、東峰先輩とのタッグは絶対ダメ。掠り傷がAEDの出動になっちゃうから。
ふと、ネットに対峙する一人の影を見付けた。ここからでも分かるピョンと跳ねた黒髪、そしてそばかす。ボールを上げて軽く跳び、無回転で打つ…が、そのボールはネットに当たり、落ちてしまった。
『フローター、難しそうだなぁ…』
「え?どうかしたの?」
『あ、ううん、なんでもないの!』
不思議そうに見る仁花ちゃんを、なんとか取り繕った。危ない、バレるところだった。
私が見ていたのは山口君、
現在進行形で好きな人だ。