Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第15章 ★祭りの夜に《木葉 秋紀》
少し早めに切り上げることにして、解散となった。帰りはラッシュになって人が大変なことになりそうだったから。
割りと近所なので、海宙を家まで送っていってやることにした。途中、海宙の足取りが不自然なことに気付いた。
「なぁ、足ケガとかしたか?」
『っえ、なんで?』
「いやなんか、歩き方ヘン…っつーか」
目をぱちくりとさせ、それから彼女はふにゃりと笑った。
『秋紀にはバレちゃうか。今日はホラ、下駄でしょ?だから足をヘンに痛めちゃって…』
「それでか。じゃ、乗って」
しゃがんで言うとキョトンとされた。
『え、どこに?』
「おんぶしてやるから」
『うぇっ!?重いから!』
「じゃあお姫様だっこ?」
『うぅ、おんぶで…』
彼女はそろりそろりと背中に乗ってきた。手を首に回してもらって、立ち上がる。
「うっわ軽!お前食ってんのかよ!?」
『あー、それセクハラ』
「バカ、どこがだよ(笑)」
『バカって言わないで!』
「バカにバカって言って悪いですかー?」
『ひっどーい、秋紀じゃなくてあほ紀だ!』
ぎゃーぎゃー言い合いしながら歩く。なんだかスゴく楽しかった。彼女の胸が布越しに当たってて、ちょっとドキドキした。なにせ俺も健全な男子高校生なんでね。そんな時、ぽつり、ぽつりと雫が落ちてきた。
『うそ、雨降ってきた!?』
「夜から崩れるって言ってたもんな…」
早歩きにするも、雨脚の方が早く、ぽつぽつだったのが、サーっと降ってきた。
「悪い、走るからちょっと揺れる!」
『大丈夫、ムリしないでね!』
ダッと駆け出して、家に急ぐ。その間にも雨は強くなり、2人を濡らしていく。海宙の家に着いたが、そこでアクシデント。なんと誰もいない。
『あれ、ママいないのかな…あっ、カギ!』
「どした?」
『持ってきてない!』
「マジかよ!?」
どうする、このまま外にいたら2人共ずぶ濡れでカゼをこじらせるのがオチだ。
「とりあえず、俺ん家来い!」
『分かった!』
そっからダッシュで俺の家へ。といっても裏なんだけどな。玄関に駆け込んで、2人で荒い息をする。
『あり、がと…』
「とりあえず、今夜は泊まってけな」
『うん』
だいぶ緊張する提案だったけど、海宙は苦笑いしながら承諾した。