Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第15章 ★祭りの夜に《木葉 秋紀》
射的で木兎が景品獲りまくって、店を出してるオジサンは半泣きだった。そらそーだわな、最新型のゲーム機やら特大のぬいぐるみやら持ってかれるんだもんな。
『木兎って、なんかスゴいね…』
「そーかぁ?あ、コイツあげるよ、ホイ!」
木兎が海宙に渡したのは獲ったばかりのぬいぐるみ。茶色と白のフクロウ。
『わぁ、かわいい!ありがと、木兎っ!』
「俺にも何か寄越せー」
「木葉は…これ!」
「お菓子かよ(笑)」
木兎がプレゼントしたのは複雑だが、喜んでるし良いか。本当は俺が笑わせたいけど。
次に見て回ったのは金魚すくい。こう見えても、けっこう得意だったりするんだよな。200円を、払ってポイとカップを貰う。他にやるのは猿杙と白福。
『秋紀、あの赤と白の捕って!』
「うし、任せろ!」
ポイの端っこでひょいと捕れば、元気の良いそいつはカップの中で泳ぎ回る。それから追加で3匹捕って、全部で4匹になった。
ビニール袋に水と一緒に入れた金魚を海宙に渡す。生き生きと泳ぐ金魚に目を輝かせて笑った。
『ありがとう、秋紀っ!』
「おう!」
俺もつられて笑った。泣き顔、怒ってるところ色々見たことあるけど、やっぱ、笑った顔が一番好きだ。
「あ、そろそろ花火っスね、移動しますか」
モグモグと口を動かしながら、赤葦が言った。あ!と声を上げたのは雀田だ。
「私、穴場知ってるよ!ちょっと離れた神社なんだけど、夜景も見えてスゴく綺麗なの」
それから全員一致で神社に向かった。繋いだままの手が、くすぐったかった。
雀田の言っていた神社は、人気が無くて閑散としていた。その分、花火の音も光も綺麗に見えそうだ。
ヒュルヒュルヒュル…
ドドーン!
パッと空が明るくなる。光の方を見ると、夜空に花が咲いていた。青、赤、緑、黄色。色んな色、色んな形。
『綺麗…ね、秋紀?』
「ああ。きれーだな…」
みんなで見上げた夏の夜空。幾つもの花火に彩られるそれは、とても美しかった。そして、七色の光に照らされる彼女の横顔もまた、見惚れる程綺麗だった。
部活のやつらで笑いあって、楽しんで。最高の笑顔、最高の一瞬、切り取ってカメラに納めたい。いつまでも、色褪せないように。
心から、そう思った。