Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第15章 ★祭りの夜に《木葉 秋紀》
【木葉 side】
祭り当日、待ち合わせ場所。俺と赤葦が最初に着いて、それから木兎や猿杙、鷲尾なんかも来た。小見は急用で来れないらしい。
「…にしても遅えな」
腕時計をちらりと見ると、待ち合わせ時間から10分も過ぎていた。やっぱり家まで迎えにいくべきだったか…と思っているとカラカラと下駄の音が聞こえてきた。
『ごめん、遅くなっちゃった!』
声のした方を見ると、海宙がいた。水色ベースに金魚の浴衣。派手すぎなくて似合っている。それにいつもは下ろしている黒いサラサラのストレートを頭の上でくるっと丸めてある。まるで別人だ。
隣の雀田は紺色に紫系の花柄、白福は白ベースでパステルドットの浴衣だった。
おぉっ!とどよめく男子陣。見慣れない姿だからか、かわいく見える。言わねーけど。
『えっと、秋紀、も、似合うね』
俺のはブルー系のストライプのやつ。それよりも、カタコトになってる海宙に、ブハッ吹き出した。
「フッ、なんでそんな言い方?」
『や、なんか新鮮で…いつもよりカッコいいなぁ、って思った』
ふわりと笑う彼女。ヤバい、それは反則。
「お前も、似合ってんじゃねーの」
『うん、ありがと!』
少し投げやりに言ったのに、にっこりと彼女はわらった。真夏の太陽よりも眩しい笑顔をしていた。
「じゃ、行くかー!」
その木兎の一声で、出店をみんなで回ることになった。射的、ヨーヨー、たこ焼き、金魚すくい。色々あって、楽しそうだと思った。小学生の頃に戻ったみたいだ。
ふと、アイツの姿が見えないことに気付いた。まさか、はぐれた?5分もたってねーのにか?慌てて見回すと、金魚の浴衣はりんご飴を買っていた。
『あー、いたいた、秋紀見っけ』
「おま、どこ行ってたんだよ!はぐれたかと思っただろ…」
『心配かけちゃった?ごめんね?』
そんな上目遣いで見られたら、許しちまうだろーが。かわいさ余って、憎さ百倍。こいつのための言葉だろ。
「あーもう。はぐれたら困るかんな、手え繋いどくからな。ホラ」
『う、うん…///』
りんご飴をかじる彼女の顔がうっすら赤いのは、夏の人混みで暑いからか、それとも。なんにせよ、繋いだ手が華奢でやわくて、小さくて。バクバクと心臓が暴れ回っていた。