Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第15章 ★祭りの夜に《木葉 秋紀》
【木葉 side】
いつもの部活、今日もダラダラと着替える。あー、遅くなったらまた怒るのかな、アイツ。あの元気な幼馴染みは。
ガキの頃から一緒で、幼稚園から小中高、気が付けば全部一緒だった。
秋紀、秋紀って俺を呼んで、いっつも後ろをくっついてたアイツ。今頃体育館で他のマネと準備中だろうな。と思っていると、木兎がハツラツとした声で訊いてきた。
「木葉ぁ、お前いつ蒼井にコクるんだよ?」
「っはぁ!?」
目からウロコ、瓢箪から駒。いや、マジで。
「あ、やっぱりそうなんスか?」
「いやいや赤葦、お前までノってくんなし」
興味があるのか無いのか、微妙な顔して話に入りやがる。赤葦はどこか飄々としてるから色恋の話では絡みにくい。っつか俺が絡まれる側じゃねーか。
めんどくさそうに木兎を見れば、ニヤニヤした気味の悪い笑みで言ってきた。
「なーなー、早くくっ付けよー。俺、時々あいつに相談されるんだよ。"秋紀とケンカたのぉ"とか"男子ってどんな女の子が好きなのかなぁ"とかって」
アイツが言ったであろうセリフの部分だけ裏声を使ってきやがった。マジでキモい。
内心動揺しつつ、平静を装って言った。
「へー、アイツお前にんなこと言ってんのか」
「それ、もう両想いっスよね?」
「でもなー、キッカケっつーのがな…」
赤葦の言葉にガシガシと頭を掻く。向こうからの好意には気付いてるし、それはあっちもそうだろう。冗談めかして"付き合うか?"とか言っても、近すぎる距離からか"えー、それは無いでしょ(笑)"と返される。
「そういや、今週末花火大会あるよな?」
そう言ったのは猿杙。今週末も合宿かと思えば、烏野が予選とかでこれないらしい。たまには休みも必要だろうとコーチはオフの日にしてくれた。
「よーし、その時に2人をくっ付けよう!」
「それなら俺も、協力します」
おい、木兎のは興味本意だろうが、赤葦の笑みには不敵なのが混ざってるぞ…
「悪いな、なんかー頼むわ」
そう言って、雰囲気で笑った。俺たちも最後の春高、進路のことも考えなきゃならない。この夏が、きっとラストチャンスだ。仲間たちにありがとうと思いながら、着替えを急いだ。