Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第14章 ★宵の月光《及川 徹》
【及川 side】
岩ちゃんとマッキーとまっつんと久し振りに4人で集まって、会話も弾んだ。一区切りがついたところで、愛しの海宙ちゃんを探してみる。
あ、いた。
でもあれ、隣にいるの…かげ、やま?
『だぁからぁ、影山くんはモテるよねぇ?』
「そっす!中学の時もこいつばっかりで!」
「金田一、よけーなこと言うなよ!」
「うわー、何気に影山必死なんだけど(笑)」
男3人に囲まれて笑うのは、彼女の姿。ほんのりと桜色になった頬、それに口調もなんというか、伸びてる。
こんなに酔った彼女は見たことがない。早く2人きりで話したい。そろそろお開きにして、二次会にして…って。
ああ、俺
こんなにも彼女が好きだ。
ここまで惚れたのは初めてだ。内心ベタ惚れの自分に苦笑する。どうしてでも、彼女が欲しいのだ。その笑顔も、心も、体も。
そっちに行くべきか迷ってると、何を思ったのか彼女は影山に抱き付いた。
「なっ!?///」
『ふふ、影山くんまっか。か~わい~』
「ひゅーひゅー」
感情のこもらない国見の囃し声。金田一は酒のせいもあってか真っ赤だ。そして、影山も。影山の頬をツンツンつっつきながら、彼女はけらけらと笑った。
楽しそう。でもその隣にいるのは俺がいい。
彼氏でもないのに、勝手だ。
でもだいたい、そんなもん。
片想いなんて、そんなもんだ。
らしくないぞ、俺。
「…て、及川、聞いてるかー?」
適当な相槌しか打たない俺を、岩ちゃんが不信気に伺う。そんな彼に、俺はため息を吐きながら言った。
「ごめん岩ちゃん。用事できた」
「おう」
それ以上何も言わず、俺にバッグを渡す親友。まったく、いい友達だよ。立ち上がると後ろから呼ばれた。
「及川」
「ん?」
「上手くやれよ」
見ると、あいつらはみんなグーサインをしてる。マッキーもまっつんも。ああ、本当に。
「…ありがとう」
酒のせいか、涙腺が弛んでる。なんでか流れそうになるそれを堪える。
さあ影山、今度は負けないからな。
そんな決意を胸に、俺は歩き出した。